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第252話

だが、辰崎さんも居ない島。あっくんへのおねだりパターンは何個も考えている。 ちょっとだけ、反応を見てみたいんだ。あっくんでも声を漏らすのかなって。 「和葉さん、見つめすぎ。穴が開きます」 「だって俺の嫁、可愛いし格好いいんだもん。なー?」 猫たちにも聞くが、きょとんとしている。 その姿も可愛い。 俺は他人と関わるのが苦手だし、にげてきた。 けれどこれだけは、叫びたくなる。 俺が好きになったあっくんは、世界一格好いいと。 そして俺は世界一幸せだと。 人に見せびらかすのは違う気がするからしないけど、本当はしたくてたまらない。 「和葉さん……」 照れた顔であっくんが顔をあげる。 なので俺も誘うように首を傾げてみる。 「良い子に待ってるでしょ。ご褒美にキスぐらいしてよ」 自分で唇をなぞる。渇いているので、舌で舐めて濡らすと、息を飲むのが分かった。 荷物を全部放り投げて、近づいてくる。 両肩に手を置いて、まるで誓いのキスみたいな優しい口づけ。

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