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3.翌朝に改めて確認しまして(完結)
雷と友人の言動に泣かされ、どさくさに紛れて髪に口付けられたりした悠の精神は限界だった。雷の音が遠ざかったのを確認して、悠はそのまま気絶するように眠りについた。勝哉が頭を優しく撫でているのを感じたが今悠に必要なのは睡眠だった。
「……なんでまだ抱きしめられてるわけ?」
「抱きしめたいから」
カーテンの向こうはすでにかなり明るい。もう10時は過ぎているのだろうと思われた。
一晩で勝哉は開き直ったらしく、悠を抱きしめたまま放してくれない。
「腹減った」
「冷蔵庫なにか入ってる?」
「多分ポカリぐらい」
「じゃあ俺んち行こう。ごはん作るから」
「えー……コンビニでなんか買ってこいよー……」
ここから着替えて準備して出かけるというのがもう面倒くさい。勝哉は二つ隣のマンションに住んでいる。賃貸らしいが祖父が金を出してくれているのだと悠は聞いている。コンビニはその向かいにあるのだから買ってきれくれればいいと悠は思う。
勝哉はにっこりと笑んだ。
「きーちゃん、そういうかわいいこと言うと……襲うよ?」
「……え……」
どうやら昨夜の友人の言動は夢ではなかったらしい。
「お、襲うって……」
「このままキスして全身舐めまわして朝勃ちしてるコレしごいてイかせて後ろほぐして俺の突っ込んできーちゃんがあんあん言うまでヤるけど?」
息継ぎもしないで勝哉は一気に言った。
「あ、あんあん……」
「『あひぃ』でも『らめぇ』でもいいけど」
「ないっ! ないない絶対ないっ!」
なんということを言うのだと悠は真っ赤になった。やっぱりそういう意味で友人は悠のことが好きらしい。
「い、今までそんなそぶり一度も……」
「本当はきーちゃんの胃袋掴んでから言おうと思ってたんだけど、昨夜のきーちゃんすっごくかわいかったから……」
「わーっ! わーっ! わーっ!」
耳元で色を含んだ声音で言われ、悠はもう叫ぶことしかできなかった。
ぐうううう~~~~
「……腹減ったぁ……」
「きーちゃん支度して。きーちゃんが大好きなナポリタン、冷凍庫に作り置きしてあるよ?」
「ううう……」
結局好物を用意されたら勝てるはずもなく、悠はそのまま勝哉の家にドナドナされた。
* *
そうして夏休みが終る頃、何故か勝哉に親を説得され一緒に住むことになっていた。
「……なんでかわいい息子よりお前の言い分が採用されるんだ……」
「きーちゃん、幸せになろうね」
「いや、同棲じゃない! 決して同棲じゃないぞ!」
「うん、わかってる。そのうち養子縁組しようね」
「マテマテマテマテ……」
けれどそれから一年もしないうちに、でろでろに甘やかされた悠が勝哉とらぶらぶになってしまうのは誰もが予想できる未来であった。
Love Love Happy End!
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