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非王道と王道(2/16)

……俺が今日から通う新しい男子校は、全寮制らしい。 ちなみにその事を聞かされたのは、なんと昨日。 俺涙目ですよ。 急いで荷物つめたんだけど途中で少年漫画を読み始めてしまった。大幅なタイムロス。 漫画内のキャラクターが、悩んだり苦しそうな表情を浮かべているのを見ると、なんだかゾクゾクす……ゴホン。 ある人にその事を話したら、ドSと言われた。どう考えてもあんたのほうがドSだろ。 ちなみにその人、髪の色が派手な銀の短髪。 約190cmの高身長で引き締まった筋肉を持ち合わせたその肉体は、俺の憧れの的。 だけど性格は少し気難しい…短気だし。 俺が心から信頼している、数少ない人間の中の一人だ。 さっきその人が、俺を高校までバイクのケツに乗せて送ってくれた。 そういえば、その人がバイクを運転している間「掘られるんじゃねぇぞ 」って言っていた。 全く意味が分からなかったから、 「掘られる?何を?」と言葉を返したらギロッと睨まれた。 ……怖いお。 じゃなくて、めちゃくちゃ怖かった。 頬に朱を滲ませるくらい、怒りに燃えた険しい顔をしていたからな。 思わずその反応にビクッとしてしまい、その人の胴に回していた腕を引っ込める。 が、「落ちるからしっかり掴まれ」と言われたからそっと腕を回し直した。 「何で怒ってるんですか?血管ブチ切れちゃいますよ」 「……怒ってねぇ」 怒っていないなら、バイクのスピードを上げないでください。 苦手なサツにしょっぴかれますよ? 「嘘つかないでください。ほら、怒ってる証拠にあんたの頬が赤…」 「黙れ、見るな」 「…さーせん」 バイクの煩いエンジン音が、沈黙の間を埋める。…何なんだ、この重い空気は? 何か話さねぇと……こんな空気、俺は耐えられませんよ。

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