6 / 19

非王道と王道(6/16)

「な、何…っ?」 はたから見ると、金融業の強面の男がそこら辺の男子高校生からカツアゲしてるようにしか見えないと思う。 「何かあったら絶対連絡入れろ」 「……分かってる」 「ふっ」 不覚にも、そのエロい口角にドキッとしてしまった。 微笑と照れ顔、今日はレアな旦那を沢山見ることができたな。 「とりあえず、掘られないように?頑張りますね。よく分かんねぇけど」 「当たり前だ。掘った奴は殺る」 怖……っ。 そんなに俺が掘られることを死守したいのか。 ”殺る”とか物騒ですよ、旦那。 「じゃあ、あんたになら俺は掘られてもいいんですか」 「…それ以上言うな」 「だって意味分かんねぇし」 「とにかく、少しでも何かあったら俺に報告しろ。分かったな」 「あいさー。お疲れ様でした」 軽く頭を下げて、旦那に背を向ける。 そのまま学校の方へと向かおうとすると、再び呼び止められた。 「真琴」 「なんですか?」 「……お前は俺のものだ。それだけは頭に入れておけ」 「あ、はい…?」 バイクのエンジン音を轟かせて、放心状態の俺の前から去っていく旦那。 今のセリフ、女の子だったらイチコロだろうな。 だってあの人、めちゃくちゃ格好いいし。 でも、俺みたいなガキ臭い野郎に言っても意味無くね?…変なの。 不思議に思って首を傾げた後、俺は学校の門に向かってゆっくりと足を進めた。

ともだちにシェアしよう!