7 / 19
非王道と王道(7/16)
……お、無駄に長い回想をしてるうちにまた何分か経過したぞ。
そろそろ行きますか。
……というかさ、この高校でっかいんですけど?
西洋風で城みたいな。
こんなのリアルであるんですね。
しかも門とか俺の身長の二倍。
別に俺が小さいわけじゃないから。
育ち盛りだからこれから伸びます、だからけっしてチビじゃない。
というかこの門どうやって開けんの?
そうこう考えてる内に、遠方の道から誰かがこちらへ駆けてきた。
この男子校の生徒?なら、そいつの後ろについていけば敷地内に入れるな。
そうと決まればさっそく制服のジャケットを脱いで通行人Aのふり。
お、見えてきた。
…………お?
何だあれ…、黒いマリモみたいな頭の人が前方から駆けてくるんですけど。
銀さんよりテンパじゃねぇか。
しかもその瓶底グルグル眼鏡どうした?今時どこで買えるんだよ、そんなの。
てか、あ……。
マリモから金髪が少しはみ出て見えてるんですけど…カツラ?
何で変装してるんだよ。
不審者より怪しい生徒だな。
その黒マリモは俺の横を通りすぎる際、独り言を発した。
「はぁ、転校初日なのに遅れたし」
なんだ、お前も転校生か。
チッ、使えないな。
まぁ……黒マリモが門を開けてくれるだろう。
そう思い、俺はそいつを観察する事にした。
ともだちにシェアしよう!