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非王道と王道(7/16)

……お、無駄に長い回想をしてるうちにまた何分か経過したぞ。 そろそろ行きますか。 ……というかさ、この高校でっかいんですけど? 西洋風で城みたいな。 こんなのリアルであるんですね。 しかも門とか俺の身長の二倍。 別に俺が小さいわけじゃないから。 育ち盛りだからこれから伸びます、だからけっしてチビじゃない。 というかこの門どうやって開けんの? そうこう考えてる内に、遠方の道から誰かがこちらへ駆けてきた。 この男子校の生徒?なら、そいつの後ろについていけば敷地内に入れるな。 そうと決まればさっそく制服のジャケットを脱いで通行人Aのふり。 お、見えてきた。 …………お? 何だあれ…、黒いマリモみたいな頭の人が前方から駆けてくるんですけど。 銀さんよりテンパじゃねぇか。 しかもその瓶底グルグル眼鏡どうした?今時どこで買えるんだよ、そんなの。 てか、あ……。 マリモから金髪が少しはみ出て見えてるんですけど…カツラ? 何で変装してるんだよ。 不審者より怪しい生徒だな。 その黒マリモは俺の横を通りすぎる際、独り言を発した。 「はぁ、転校初日なのに遅れたし」 なんだ、お前も転校生か。 チッ、使えないな。 まぁ……黒マリモが門を開けてくれるだろう。 そう思い、俺はそいつを観察する事にした。

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