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非王道と王道(15/16)

抵抗するのも疲れるから仕方なくついていくと、いきなりイケメソがピタッと足を止めた。 お、校門じゃないか。 結果オーライ。早く校内に入りたい。 「お、キター!王道キター!」 うるさいな。 イケメソが指をさす方に目を向ける。 あ…、黒マリモ……マリモが宙を舞っている。 「痛っ……と」 黒マリモは高い門を飛び越えるとよろめきながらも着地した。 てかもしかして今までずっとトライしてたんですか? ふと隣のイケメソに目を向けるとその瞳がキラキラと輝いている。 ……黒マリモ見てなんで嬉しそうな顔してるんだろ? あれか、 カツラフェチ? カツラ被ってる人が好きだったり? 世の中には変わった趣味を持つ人がいるんだな。 そう考えていると急に左手に強い圧力がかかってビクッとした。 「わ……っ」 まだ手を繋いだままじゃないか。 野郎と野郎が仲良く手を繋ぐ……たまったもんじゃねぇ。 手を振り解こうとするが、離してくれない。 「おい…っ」 「静かに!よしきた、副会長!」 いや、静かに!じゃないから。 ため息をついてイケメソの目線を追うと、黒マリモの背後にススッと黒い人影が出現した。 何だ、あの長身の人。 ひっそりと背後に立つとか亡霊みたいだな。

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