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薔薇の棘

「お前、また新野たちを見てただろ」  咎める光紀の声に、学はふるふると首を振った。 「みっ……見てないぃ…っ!あ、あぁっ!あっ、あっ…」 「嘘つき」  しかし光紀はそう断言し、ぐんと腰を打ち付けた。学のシミ一つない滑らかな背中がビクンっと大きく跳ねる。  放課後、教室の中には光紀と学二人だけだった。  学は腰を突き出すように机にしがみつき、ふるふると爪先立って両脚を震わせている。はぎとられたワイシャツは床に捨てられ、ずり落ちたスラックスと下着は、足元で絡まっている。  光紀はその学を背後から覆いかぶさるように抱き込み、そのまろい尻の間に己の欲望を突き立てていた。  学のアナルはきゅんきゅんと光紀のものを締め付け、奥へ奥へと誘い込むように蠕動する。 「あっ…あ、やぁっ…待、イきた、前、ほどいてぇ…っ常田ぁ…っ」 「だーめ、お仕置きだから。言ったよな。よそ見したら許さないって」 「やぁ、やぁだぁ…っしてな、してない…っ」  光紀の言葉通り、現在お仕置きの真っ最中であった。  光紀が学を穿つたび、学は快感に打ち震えた。しかし、イクことは許されず、痛いくらいに勃ちあがった学のペニスの根元には、ぎゅっとリボンが結ばれていた。  どんどん蓄積されていく解放されない快感に、こぷりこぷりと間欠的に先走りだけがあふれ出る。結ばれたリボンはぐっしょりと濡れそぼり、さらには太ももを伝って、床に水たまりができるほどに。 「も、あ、あ、やぁ、許し、てぇ…っも、いきた、い、だめ、あっ、あぁ…っ気持ちくて、し、しんじゃうぅぅ…っ」  学は泣きじゃくってひたすら懇願した。 「死なねーよ」 「や、あ、ああぁぁっあん、ん――っ」  光紀が学と交際を取り付けて三カ月。  宣言通り、光紀は学のよそ見を許さなかった。女子が二人以上いればすぐさま百合妄想を始める学は、すぐぼーっとする。その瞬間を光紀は決して見逃さず、その都度『お仕置き』をした。  一番最初は、放課後の誰もいなくなった教室で学を引ん剝いて犯した。誰か来るかもしれないという恐怖と、初めての性体験に、学はひたすら怯えていた。  二度目は、ただただ快楽のみを与えて、もう何も出なくなるまでいかせた。ゆっくりじっくり慣らしたアナルは、快感を拾い上げるようになったようだった。もう出ない、やめてと繰り返す学は、最後には潮までふいた。漏らしてしまったと勘違いをして、延々と泣き続けていた。  三回目は、ローターを入れたまま、授業を受けさせた。これはなかなか効いたようだったが、同時に失敗したとも思った。  どうも学は羞恥を煽られると興奮するようで、周囲にバレたらどうしようと焦る気持ちとじんじんと与えられ続ける快楽に上気した顔はあまりにも凄艶で、クラスメイトや教師まで、その色香にどぎまぎと顔を赤らめていた。あんな色っぽい顔は光紀だけのものにして、誰にも見せたくなかったのに。  その後も、女子に目を向けようものなら、苦痛となるほどの快楽を与えて躾をしてきた。  そのおかげか、学が女子を見ることがなくなって、お仕置きをすることなく一緒に食事に行ったり、休みの日に出掛けたり――割と健全な交際もできてきていた。学が光紀に対して恋心を抱いている様子はなかったが、二人で遊ぶことに関しては楽しそうにはしていた。  しかし、今日、学は神崎と新野のコンビをみつけ、顔を赤らめていたのだ。  なので、すぐに放課後の空き教室に連れ込んで、犯した。イかせないように拘束をして。 「あっ、やぁ、常田ぁ…っちが、ちがうぅ…も、違う…っ」  金色の髪を振り乱し、学が必死に首を振る。 「違う?」 「ん、あぁっ!」  光紀は学の太ももを掴み、ぐいっと持ち上げた。学の体が反転し、中に入ったままの光紀のものが、敏感な内壁をぐりんと抉った。 「あっ、あ…あ、ふぅう……っ」  どうやら軽くイった様子で、学の体はびくびくと痙攣している。  上向いた顔は余韻に恍惚とし、奇麗な薄い瞳には涙の膜が張られ、光紀は吸い寄せられるようにそこに唇を寄せた。 「何が違うって? また妄想してたんだろ」 「あ…ぅ…ちが、違う…だって、常田が…っ」  荒い息の合間に、学は懸命に訴える。光紀は黙ったまま続きを促した。 「だって、女の子見ようとしても、先に、常田のこと思い出しちゃって、い、いやらしいこと、いっぱい、思い出しちゃって…っ女の子、見たら、また、エッチなことされちゃうって、思っちゃって…っもう、僕、女の子見れなくなったからぁ…っ」 言いながら、学は両手で自分の顔を覆った。 「最近、いっつも、いつも、僕…常田のことばっかり考えちゃう…っ」 「へぇ…?」  ぞくぞく、と光紀の背に、歓喜の興奮が走る。 「じゃあ、なんで今日見てたんだよ?」  望む答えを求め、光紀は尋ねた。しかし、学は顔を隠したまま、押し黙ってしまう。 「ふーん……俺に、エッチなことしてほしくて、わざと見たんだ」 「…っ」  キュンと、中にうずもれた光紀のものが締め付けられた。それが答えだった。 「最高」  にやりと笑った光紀は学の腕をとり、顔から手を引き離した。学は真っ赤な顔で慌てたように視線を泳がせる。 「可愛いじゃん。いじめられたかった? いくらでもしてやるよ」 「やだ、やだ、違…っ」  光紀は学の腰を掴むと、ぐいっと引き寄せた。みっちりと埋められていた熱い杭の先端が、さらに奥の奥をえぐる。同時に、学を縛り付けていたリボンを解いてやる。 「あ、や、やぁぁぁぁぁっ!」  途端、学のペニスからびゅくびゅくと壊れた噴水のように、せき止められていた精液があふれ出す。  光紀はそれに構わず最奥をめがけて何度も腰を打ち付けた。ごぷっごぷっと突き入れた先端が柔らかな肉襞の壁をこじ開けていく。 「ひぃぃぃん、や、だめぇ、おくぅっ!あぁぁぁっ、あー…あー…っ」  もはや学の瞳の焦点は合わず、開いたままの口から甘い吐息だけが漏れる。 「ははっ、これからも、ずっと俺のことだけ考えてろよ」 「ん、んぅ…っ」  こくこくと首を振る学は、反射的にうなずいているだけのようだったが、光紀はかまわなかった。  ずっとほしかった花を手に入れた。どうしたって手放してはやらない。 終

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