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イケボさん→サガ
「あの、6人の癒しのスペシャリストの中にはエッちゃんさんは入ってますか?」
僕が慎重に聞くと、イケボさんはう〜んとねとゆっくり話し出す。
「エッちゃんは妖精さんやから入ってないんよ、ごめんなぁ」
ふわふわな口調でファンタジーなことを言うイケボさん……ワイルドなのに妖精って!?
「じゃあ、あなたは……イケボさんは6人に入ってますか?」
こんな声なら何回聴いても飽きない気がする。
「僕? 入ってるけどなに……?」
誘うようなより低い声に胸が波打つ。
「まぁ、僕以外にも色物揃いやから楽しみにしといて……ドMとかツンデレとか」
ふふふと笑うイケボさんに、ますます拍動が早まる。
「明日から始めてもええかな? 時間は今ぐらい?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、君の名前聞いてもええ?」
「佐藤平太です」
さとうへいたねぇ……とイケボな彼に名前を呼ばれただけでまだドキドキする。
「あの、あなたの名前はなんですか?」
告白するくらい緊張しながら、言ってみる。
「ん? 福岡 やでぇ」
福岡と来れば、名前はーー
「下の名前はサガさんですか?」
変なことを言ったのに気付いたのは、3秒後。
「あっ、すいません……「サガってどういう字を書くと思う?」」
ノッてくるとは思わなかったのにびっくりしながらも、無い頭で考えを巡らせる。
「沙悟浄の『沙』に『雅』ですかね」
「ええねぇ……じゃあみんなの名前を決めてもらうの追加で、あとはタメ口なぁ」
ええ名前もらったわ、なんて言ってくれるイケボさん……サガはアッハッハッハと豪快に笑い出した。
「来てもらいたいところの住所はメッセージで送っといてなぁ……じゃあ、また明日ね」
僕はよろしく、と精一杯で返して電話を切った。
20歳どころか、今日で何かが変わった気がするのは……僕だけだろうか。
なんて考えながら、鮭弁当とお茶をいつもよりゆっくり食べた今日の僕だった。
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