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子犬かイケメンか

 悩んだ結果、りんごとみかんとバナナをミキサーに入れ、牛乳を加えてボタンを押し続ける。 出来たそれをスムージー用のジョッキに入れて飲んでいると、ピンポンとチャイムが鳴った。 「どうぞ〜開いてるので入ってきてください」 訪ねてくるのはおいで屋さんくらいだから、大きな声で言う。 「お邪魔しま〜す」 その声はハスキーな声で、ある意味イケボだなと思いつつ、りんごとみかんとバナナのバランスが最高だなというので頭が一杯になっていた。 「あっ、もう朝ごはんしてる〜俺が作るつもりだったのに」 へいた〜んと言った先を見ると、小麦色の肌に垂れた目の男性がエサを取られてしょげた子犬のような表情を浮かべていた。 「飲む? 結構美味しく出来たんだ」 人見知りなはずの僕がなぜか自然と飲みかけを彼に渡す。 「俺、スムージーは味にうるさいからな」 ドヤ顔をしてから飲んだ彼だけど、飲んですぐにうまっと声を上げた。 「みかんの酸っぱさが先に来るんだけど、りんごとバナナの甘みがそれを包み込む感じが良いよね」 「そうそう、ちゃんとバナナスムージーになってるしな」 バナナの他に果物を入れるとミックスジュースになりがちだから……ちゃんとわかってくれてるのが嬉しかった。  「柄谷(からや)さん……だよね。カイリって呼んでもいい?」 僕が聞くと、カイリとつぶやいてニコッと笑う彼。 「海軍の人みたいな顔してるからだよな……海の官吏から海吏だろ?」 なんてパッと僕が思った名前の意味を言い当てる彼……カイリは頭の回転が早いなと思ってびっくりする。 「なんとなくわかるわ……お前の顔見てると」 ふっと笑う顔はかっこよくて、ギャップがある人だなと思った。

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