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5年後

今日はいつも以上にテキパキかつ丁寧に仕事をする……だってプレミアムフライデーだから。 「ユー、帰るで!!」 15時前にそう聞こえてきたから振り返ると、ビジネスショートなのに金歯が光る根切社長だった。 「お疲れ様です、根切社長」 まじめに頭を下げたのに、その頭を鷲掴みにされた。 「今からはマニや……ユーアンダースタンド?」 金歯を光らせて、雑に撫でるマニ。 「みんな待ってるから、はよ」 しびれを切らしたエツがマニの背中からひょっこりと出てきて睨んできたから、僕は挨拶をして手早く部屋から出た。 スマホを開くと5件の通知、しかも同じアプリからだった。 ‘‘そろそろ伸びてきたから切らして?’’ ‘‘新作のカレー食べてぇ’’ ‘‘新しいの仕入れたよぉ、来て^_^’’ ‘‘いつまでも待ちましゅよ、ぼくちん’’ ‘‘おりぇも’’ 個人のも作ったのに、連絡が多いのはなぜか『\おいで屋/』の方……仲がいいからかな、とは思っているけど。 「さっ、楽しみは仕事の後でだ!」 小さく、でも力強くつぶやいて、マニとエツの前を胸を張って歩いていく。 <完>

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