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楽しみはこれから
耳付き帽子を外したはずなのに、獣のように抱き合う僕ら。
乱れた末にベッドに仰向けに横たわる。
「どうやった? 坊主」
僕の胸に頭を乗せたまま話すエツ。
「1万円以上の楽しみはあったよ、ありがとう」
素直に言い、エツのくせ毛を指に絡ませて弄ぶ。
「俺らも楽しくて、仕事なのを忘れてたわ」
変わらずにクククッて笑うエツの振動が胸に響く。
身軽に回転して、エツは人差し指と中指で半分に折り畳まれた1万円札を挟み、僕の胸を1回叩く。
「Here we come.」
落ち着いた声で流暢に言うエツ。
「There you are! Please keep in touch.」
僕も負けずに発音、アクセントをネイティブ並みな感じで返した。
「契約更新成立……楽しみはこれからやで」
一番味わい深い声を出したエツはお腹にキスを落とす。
「一気に変わりすぎだろ……」
言葉と裏腹に満面の笑みを浮かべた僕はみんなの呼吸を聴きながら眠りに落ちた。
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