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皆黒とルイード9
ルイードの手だか腕だか、よく分からない枝を自宅に持ち帰ると、
すぐさまソルが近づいてきた。
「…なんだ?」
物珍しそうに身を乗り出してくる。
「さぁ、なんだろな」
苦笑しながら、皆黒はそれを水差しに入れて、窓際に置いた。
「そんな枯れ枝をここに飾るのか?」
「もしかしたら、なにかご利益があるかもしれないだろう?」
「…意味がわからん」
ソルは理解不能というように、しかめっ面になった。
゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜゜
その夜。
皆黒は、夢を見た。
懐かしくて、恋しい、…久しぶりに見る、愛する人の夢だった。
――窓辺の細枝が、
金粉をまとったように、キラキラと輝いていた。
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