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皆黒とルイード8
「その腕輪は、この前のお礼だ。オレを助けてくれたから」
そう呟いたと同時に、ばしっと乱暴に腕を払われた。
――なにかが弾ける音がして、ピッと皆黒の頬に痛みが走る。
「痛…っ、」
気づくと、ザザッと葉擦れの音が鳴り、
一瞬のうちに目の前からルイードの姿が見えなくなっていた。
頭上でなにかが移動する気配がする。
逃げられた、と思った時には、ルイードの気配は完全に消え失せていた。
「あーあ、」
ため息交じりに身を屈め、皆黒は静かに拳を開いた。
手のひらの中に、
細い、1本の、小さな枝――
ルイードは自らの腕を手折って、皆黒の前から逃亡してしまったのだ。
「これって、手だよな。…また生えてくるのかな。それならいいけど…」
皆黒は、切り株から転がり落ちた自分の腕輪を拾い上げると、
再び大きなため息をついて、落胆した。
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