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信頼してる理由 『少年くん』
「黒沼命、よろしく。」
浅羽組に入ってすぐの頃、親父が俺と年が近いある男を紹介してくれた。
無表情に冷めた目で俺をみる男。名前は早河大和。バカにされてるように思えて見た瞬間からこいつとは仲良くできないと確信した。
「早河、命にいろいろと教えてやってくれ」
「はい」
そうして親父は部屋から出ていく。早河と二人きりになって気まずいし、どうしたらいいんだろうと一人悩んでると「おい」と声をかけられた。
「なんだよ」
「組のどこに何があるとかわかるか」
「…いや」
「……案内するからついてこい」
いかにも面倒臭いという表情をしてる早河。面倒くさいなら案内は他の人に頼むから別にいいわ!とか思ったけれど、頼めるほど親しい人はいない。
「…頼む」
我慢して部屋からでる早河の後を追った。
俺の中の早河の初めの印象は、なんだか嫌なやつ。だった。
***
「…で、何かわかんねえことあるか」
「いや…」
「そうか、なら後は慣れろ。」
それだけ言って去っていく、何だかわかんねえけどすげえイラつく。舌打ちを小さく打った。
そんなこんなで組になれてきた頃、俺の早河へのイラつきは大分増していた。
あいつは愛想も悪けりゃ無口だし、仕事も早くこなして親父たちにも誉められたりする。けれどそれを謙遜してるところがあって。
何でも出来るくせに、そういう態度をとってるのが何にもできない俺からすれば腹立たしい。
そんな早河とは仲良くなれてねえけど他の人たちとは割りと仲良くなれた。
────そんなある日。
「おい!!若知らねえか!!」
「え?」
俺と早河が作業をしていた部屋に上の人が慌てて入ってくる。どうやら若が消えたらしい。
「チッ…誰かに拐われたか…おいお前ら探しに出るから用意しておけ、それなりに武器は持っておけよ」
そう言い部屋を出ていったその人。
早河は言われた通りにまだ遣い馴れていないチャカやナイフを用意しだす。俺も用意しなきゃ…少し震える手で同じように武器の用意を始めた。
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