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揺れる

というわけで蓮の荷物を持って八田の家まで行く。ユキもついてくるって言うから一緒に。 いつぶりだ…?と思うくらい八田の家に行くことは滅多にないから、少しだけ緊張していた。 ピンポーンとインターホンを鳴らす、少ししてガチャっと扉が開き眠そうな顔をした八田が出てきて「…おお」と小さく言う。 「これ、蓮の。」 「あー、悪いな。上がれよ」 「ん、お邪魔します。」 八田の家はいつも綺麗だ、軽い潔癖性なのかもしれない。幹部室の掃除だって八田は率先してやっているし。 「蓮、命達きたぞ」 「あ、お兄ちゃん!」 テレビを見てた蓮が俺のところに来て足に抱きついた。ユキはそれを見てちょっと嫌そうな顔をしていたけれど、頭を撫でてやるとふんわりと笑う。 「お前の服とか本とか、持ってきたから。」 「ありがとう!」 「おう。…八田、話があるんだけど。」 蓮が何で八田のところに行ったのか、八田はきっと蓮と話をしてくれている。コクリと頷いた八田はこっちに来てくれと違う部屋を目指す。ユキに蓮と一緒にいてくれ。と言って俺は八田後ろについていった。 *** 「蓮がここに来るって言った理由はな、2つある。」 違う部屋に来て早速、八田は難しい顔をしてそう言った。 「まずは、単に俺のことが気に入ったって理由と、…ユキくんが悲しむからって理由だ。」 「…ユキが、悲しむ……。」 「そう。蓮には昔の話も聞いた、親の顔色をいつも気にしてたらしいからな、人の気持ちは何となくわかるんだろうよ。」 いつも怒られないようにと言葉を選び、行動をして来たんだ。そういうのがわかるようになってもおかしくはないし、別にわかるようになったのが悪いことではない、が… 「あいつらは、必要以上に怒ったり、殴ったりするからな…。」 「だからだ、怖かったってのも少しはあるだろ。…蓮がここにいたいって思い続けてる限り、ここにいさせてやるつもりだ。金のことはどうでもいい、今まで我慢してきた分好きなようにさせてやりたい、一応蓮の兄貴のお前に聞くが、それでいいか?」 「…頼む」 「ああ。」 八田になら任せられると頷けば、難しい顔からいつもの表情に戻る。俺の肩を軽く叩き部屋に戻るぞ、と立ち上がった。 「蓮のこと、よろしくな。」 「当たり前だ、お前もたまにでいいから蓮に会いにこいよ。」 「おう」 この先、蓮が少しでも幸せに暮らせるように。

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