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揺れる

ユキが眠った後、風呂に入れてシーツを変えたベッドに寝かせる。 自分の胸の中にはモヤモヤとしたものがあって、その原因はわかっているから苛ついてきて仕方がない。 蓮は何か不満があったのだろうか。 それともただ八田のことが気に入っただけ? 考えないといけないのに、それができなくてキッチンに行き酒を一人でガバガバ飲んでリビングのテーブルに顔を伏せる。 「……チッ」 ユキが悲しくならないならそれもいいと思うけれど、俺の実の弟だ、複雑な気持ち。 「…ねむ」 そして俺はそのまま眠ってしまった。 *** 「───と、───っ!」 「ん…」 体をゆさゆさ揺らされる。ゆっくり目を開けるとユキが俺を見てすこしだけ怒ったようなかおをしていた。 「起きて!」 「何だよ…」 「な、なんで、隣で、寝てくれないの…?」 「あー…?」 何の話だっけ。 机から体を起こし腕を伸ばして伸びをする、あくびがふわふわと出て目に薄く涙がたまった。 「命ぉっ!」 「はいはい」 「はいはい、違う!」 頬を膨らませて怒るユキ、怒るなよと抱き上げて強く抱きしめたら始めはイヤイヤと首を振ってたくせに大人しくなった。 「昨日は考えないといけないことがあってな」 「………」 「ごめんな」 「…うん、いいよ。」 首に腕を回してきて離れなくなった。可愛いなと思ってキスをするとふふっと笑う。 そして、しばらく時間が経って朝食を済まし皿洗いをしている時にまた、八田からの電話があった。 そしてその内容に少し耳を疑った。 「はぁ!?」 「いやだから、蓮これからここに住むっていうから蓮の着替えとかあるか?無いなら無いで買いに行くからさ。あと何だ、蓮が絵本がどうとか言ってるぞ。」 「……着替えはある、絵本もある……から持っていく。」 「悪いな、別に仕事の時でもいいぞ」 「…いや、行くよ。」 今日は暇だし…と蓮の荷物を大きめの紙袋にいれていく。ユキが「何してるの?」って言ってくるけどそれに返事をする余裕がなかった。 「みこと…?」 「悪い」 蓮を預かるって言ったのは俺なのに、結局八田に預けてしまってる。自分の中でそんなことをしてよかったのかと、自分が何か悪いことをしてしまったんじゃないか、と。 「命、怒ってる、の…?」 「怒ってねえよ」 「でも…怖い、顔してる…」 「…ユキ、こっち来て」 ユキを呼んで俺の腕の中に閉じ込める。ユキの小さい体から与えられる安心感と柔らかい匂いに癒されて心が安らぐ。けれどそれは一時的なもの、ずっと心が荒立たないわけではない。 「好きだ」 「僕も、命、大好き!」 「愛してる」 「うん、僕もだよ!」 ぎゅっとユキの腕が背中に回った。 このままずっとこうしていられたら…。 「……用意しないと。」 蓮が幸せになれるのなら。

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