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オメガバース 早河×命
「お前、すげぇ甘い匂いがする」
「はぁ?」
朝、仕事にやってくると早河に当然そう言われた。
「香水か?」
「つけてねえ」
「じゃあ何か甘いものでも作ったのか?」
「そんな趣味もない」
スンスンと自分の匂いを嗅いでみるけど甘い匂いなんて全くしない。
「匂いなんかしない」
「いや、する。」
「しねえって!なあ、赤石!」
「え、するよ?」
赤石に確認してもらおうと思って聞いたのにアッサリと答えやがった。
「…臭い?」
「いや、むしろいい匂い。」
「色気ムンムンって感じの匂い」
なんだか怖くなってデスクに座りパソコンで検索をかけることにした。後ろから画面を覗いてくる早河は「これじゃねえか?」と画面を指差す。
「お前は俺がオメガだって言いたいのかよ」
「だって"突然 甘い匂い"でヒットしてるのはこれしかねえじゃねえかよ」
背中がゾッとして画面を睨むように見た。
「俺はずっとベータだぞ」
「だから、稀に突然オメガにってケースもあるって書いてあるだろ。一回検査してこいよ」
「…ちなみにお前は何だっけ?」
「アルファ」
「俺がもしオメガだったらお前のこと殺してやりたい」
「その前に俺がお前の項を噛んでやる」
その言葉に今度こそ冷や汗がでた。
それは俺と番になると言ってるのと一緒だ。
「えー!早河がみっちゃんの番になるなら手出せないじゃん!」
「おい、まだ決まったわけじゃ───」
「当たり前だろうが、そもそもベータのお前にはオメガと番になれねえんだ、諦めろ。」
俺を他所に早河と赤石は言い合いを始めて、面倒臭くなり、とりあえず検査をしてこようと親父に許可をもらって早退することにした。
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