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第10話
「いや~。それにしても、男前だな~お前」
勝司が立ち去るのを見届けた、大城の第一声がそれだった。
「俺の出る幕なかったわ」
「そんな事ないよ。あんたが居てくれたから虚勢張れたし」
「まあ、役に立てたんならなんでもいいがな」
ぽんぽんと頭を撫でられて、ちょっと泣きそうになる。
「それにしても、お前の元恋人。よくここが分かったよな?」
「多分。母さんに沖縄に居るって教えちゃったから、そこからバレたんだと思う」
「沖縄ってだけで、素人が見つけられるもんか?」
「あいつ、無駄に能力値が高いから、それでかも」
「スゲェ執着心だな。このままキレイに諦めてくれるのか、あいつ」
「仮にストーカーになったとしても、ガチでケンカしたら俺の方が強いから、大丈夫じゃないかな……」
「何か、スゲェ心配。やっぱりお前、うちに住めよ」
「う~ん……」
「どうせ行く場所ないんだろ?」
このまま大城と一緒にいるとなぁ……別の問題が起こりそうと言うか……。
頭を抱えて悩む俺の頭を大きな手が撫でる。
「面倒な事は後で考えればいいんだよ」
とりあえず、のんびり行こう――と優しい笑顔がそう言った。
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