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24話

◆◆◆ また盗撮されるとたまらないので椿屋はさっさと服を着て部屋を出た。 「ちぇ、服着ちゃってさ」 真っ先に文句を言ったのはもちろん神田。 「なんで、裸撮ろうとするんですか?脅しにでも使う気ですか!!」 そう言った瞬間『ナイスアイディア 』と神田の声。口が動いていなかったので心の声だ。 しかも「あー、いい考えだね」ともろ言葉にしたので裏表ないのは凄いけど変態だよな……と椿屋はドン引き。 「いい考えだね!じゃありませんから、これは盗撮だし、それで脅すと脅迫ですからね?立派な犯罪です」 「固い事言うなよ」 神田はニコニコしながら椿屋の肩に手を置く。 「神田、人のもんに気安く触るな」 伊佐坂がバシッと神田の尻を叩く。 「いやん、エッチ」 と尻を押さえる神田。 「先生、神田さんどうにかしてくださいよ、セクハラです」 椿屋はビシッと神田を指さす。 「セクハラは禁止だ神田。するなら俺の許可を得てから」 「は?なんで先生の許可いるんですか?」 「だってお前、俺んだろ?」 「……なんか、ドラマで聞くようなセリフ吐いてますけど、俺は先生の所有物じゃないですからね」 「このケツもチンコも俺なしじゃダメになってるだろ?」 その言葉にニヤニヤする神田を見て「ちょ!やめてくださいよお」と伊佐坂の口を塞ぐ。 その手をぺろりと舐められたので咄嗟に口から手を離す。 「先生ええ!!」 何やってんだよ!みたいな瞳で見るが「もっと舐めてやろうか?お前舐められるの好きじゃん?」と言われた。 「えー、舐められるの好きなん?椿屋!じゃあ、俺が舐めてやろーか?」 神田の言葉に椿屋、ドン引き。 しかも、心の声とダブルで聞こえてきたので本気だと分かる。 「変態!」 椿屋は逃げるように少し後に下がった。 ちょうど、インターフォンが鳴ったので伊佐坂の姉が来たんだと椿屋はホッとする。 「先生、ほら、お弁当持って」 「神田、お前持てよ、荷物持ち」 手で指図する伊佐坂と「はーい」と元気良く言う事を聞く神田。 どっちが上なんだか……と考えた後にその上が身体関係での上と下とで想像してしまって、神田相手でも伊佐坂はセックスするのかな?なんて思って慌ててそれを振り切るように頭を振る。 何考えてんだ俺!!先生に影響され過ぎだ。 「椿屋、何してんだ行くぞ?」 伊佐坂の手が椿屋の手を握る。 女の子みたいな小さくて白い手。 この手がいつも自分を気持ち良くする……、って俺何考えていた? エッチな思考回路を振り払おうと頭をブンブン振る。 「お前、さっきから何やってんだよ?大丈夫か?何?思春期?」 顔を覗き込まれる。 「思春期って何ですか!!」 とりあえず冷静になる為に突っ込みを入れる。 「何って、お前が手を繋いだ瞬間に顔を赤くしたからな」 「あ、赤くなってません!!」 直ぐに否定したものの、確かに顔が熱い。 「なってるって!何だよお前、俺ともっと凄い事やってんのに手を繋がれて照れるとか可愛いとかあんじゃん」 ニヤニヤする伊佐坂。 「照れてないし、顔も赤くないです!」 椿屋は否定すると伊佐坂と歩き出す。 玄関に行くと『 きゃーーー!!ダンちゃんと椿屋さんが手を繋いでるううう!!可愛い』と宙の絶叫が聞こえてきた。 見ると伊佐坂の姉の横でキラキラした瞳でこちらを見る宙の姿が。 「あらあ、朝から仲良しね」 ニコニコと微笑む伊佐坂姉。 「ああ、ラブラブだからな。こいつ、手を繋いだだけで顔が赤くなるんだぜ?可愛くないか?」 「ちょ!!」 何を言い出すのかと慌てる椿屋。 「まあ!もっと凄い事やってそうなのにねえ、素敵ね、青春だわ」 伊佐坂と似たような事を言うので姉弟だなって思った椿屋。 「ちぇっ、見せつけてさ」 何故か拗ねたような神田。 『 いいなあ、手とか繋ぐの俺も繋ぎたい』 心の声も聞こえてきて、あ、奥さんとかな?と椿屋は思った。まさか自分と手を繋ぎたいとか思っていない。 「もう!行きますよ」 先立って歩き出す椿屋だが、しっかりと伊佐坂と手を繋いだままだった。 神田が戸締りをしてくれて、ようやく車に乗り込む5人。

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