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明日明後日の土日は、会社の自治会の夏祭り! 何が嬉しいって、設営の為に前日の午後の会社が休みになることだ! 今頃は自治会のおっさん達がテント張ったり地面に線引いたりしてる筈! 全駐車場提供しちゃううちの会社に乾杯だぜ! 「なおきー、今度の金曜は直希のところ半日休みだろ?なんと俺の会社‥‥」 「え、優大の会社も!」 「祭りじゃないけどね。俺のところはノー残業デー。しかも‥‥」 「しかも?」 「その日は外回り無し。確実に定時で上がれるよ。」 「‥‥ゆうだい‥‥」 「いいよ、おいで。」 抱き締めてくれた優大を思い出せば、汗の匂い。 優大の汗はフルーツみたいな匂いがするんだ。 爽やかな酸っぱさと後を引く甘さ。 軽やかな苦味が癖になる。 早く帰ってこないかな。 外回り無いって言ってたけど、今日はこれだけ暑いから‥‥ ジャケットもネクタイも無いとはいえ。 きっと、すっごく汗の匂いがする筈なんだ。 一日分の汗を纏った優大とのセックスは、物凄く興奮する。 匂いに酔ってるのか抽挿に酔ってるのか分からないぐらいに。 優大も俺が優大の匂いが好きなことを分かってくれていて、匂いを残してくれる。 風呂はいつもセックスの後。 汗の匂いに塗れてセックスをして、匂いの名残を追いかけて二人でシャワーを浴びる。 初めて会話したのも匂いがきっかけだった。 行きつけの定食屋で凄くいい匂いがして、振り返ったら人の汗の匂いだった。 強引に相席して、連絡先交換して。 二人共旅行が趣味だって知って、初めての一緒の旅行が泊まりで。 そこでお互いゲイだって判ったんだった。 初めてセックスしたのは帰ってきてからのデートでだったけどさ。 そこから同棲するまでは、結構短かったな。 旅行に金回したいって一致して、このワンルームを選んだ。 ダブルベッドを窓に足を向ける様に壁際に置いて、ソファは無し。 こうやってベッドに寄り掛かる様に床に座って、並んでテレビの旅番組を見てさ。 テレビの周りの旅行雑誌の数は、そのまま約束の数みたいでワクワクする。 この前話した隣の県の農業高校のレトルトカレー、道の駅での販売っていつまでだったっけ。 そうだ。夕飯の支度、しておこう。 ‥‥まだ早いか。早過ぎるか。 でも一度立ち上がったらもう一度座るのも癪だな‥‥ 道の駅の載っていた雑誌‥‥、これだ。 ベッドの下だと、雑誌、外の光に反射して見難いかな。 でも空はよく晴れてるし、カーテン閉めたくないし。 ダイニングテーブルに行こう。 テーブルを対面キッチンの前に置かないで出口側の壁際に置いたのは、優大。 角を挟んで座って、顔を見ながら食べる飯は何でも美味いんだ。 PCも覗いてみようかな。壁側の椅子に座ろう。 ‥‥この時間だと仕事はもう終わりかな。 そうだ、エアコン、弱めにしておこう。 優大、暑いって言うかな‥‥でも汗退かせたくないしな‥‥ いいや。弱くしちゃえ。 あー、会いたい! セックスもしたいけど、キスがしたい! あの匂いに包まれてのキス! ‥‥帰ってこないな。 ‥‥結局ベッドの下に戻って来ちゃった。 ‥‥雑誌、テーブルに置きっぱなしだ。 ‥‥玄関のチャイム、鳴らないなぁ。 ‥‥スマホでもいじるか。 ‥‥玄関のチャイム、鳴らないなぁ。 ‥‥面白い記事、無いなぁ。 ‥‥玄関のチャイム、鳴らないなぁ。 ‥‥面白い記事、無いなぁ。 ‥‥面白い記事、無いなぁ。 ‥‥面白い記事、無いなぁ。 「直希いないの?出掛けてる?」 ‥‥優大の、声? 「なんだ、居るんじゃないか。‥‥電気ぐらい点けたら?」 「‥‥‥‥スマホ見てて‥‥気がつかなかった。」 「なに?面白いのあった?」 電気のスイッチが入る音、一瞬置いて、目が眩む明るさ。 ‥‥こんなに暗くなってたんだ。 玄関のチャイムにも気が付かなかった。 鞄をラックに置いた優大が窓に向かって歩いていく。 目の前を通り過ぎた瞬間、ふっと匂う、汗。 ‥‥ああ、優大、帰ってきたんだ! ジャッジャッと音を立てて優大がカーテンを閉める。 あれ、優大にしては雑だな、真ん中に大きく隙間が空いてる。 隙間からガラス越しに見える空はまだ十分に白くて、室内に明かりが必要なことが嘘みたいだ。 スマホを後ろのベッドに放り投げて立ち上がる。 「お帰り。優大‥‥」 キスをしよう。 定時で帰れなかった事は責めないさ。 週末で二人の時間はたっぷりあるんだから、さ。 匂いに引き寄せられるように優大に近寄って、‥‥気付いた。 優大、朝と違うシャツだ。 アンダーシャツも着ていない。 汗かきの優大が会社に替えのシャツを置いているのは知っている。 でも、今まで一度も、シャツを替えて帰ってきたことなんて無かった‥‥ 「優大、シャツ、どうし‥‥」 優大が手を出して俺の動きを制した。 「キスは後な。風呂入ってくる。」 優大が廊下に続くドアを閉める。 今まで一度も、ハグやキスの前に風呂に行くことなんて、無かった‥‥

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