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とある日の国城邸—1123いい兄さんの日SS—
入浴中の葵、一人でため息をついている。
葵「はぁ……一人だと風呂が広すぎてさみしいな。でも、たまには結糸も実家で過ごしたいだろうし、仕方がないな」
がちゃ、とバスルームのドアが開き、バスローブ姿の蓮が姿を見せる。
葵、仰天して目が点に。
葵「に、兄さん? どうしたんだよ急に」
蓮「今日は11月23日だな、葵」
葵「????? え? あぁ、そうだな……?」
蓮「”いい兄さんの日”と呼ばれる、特別な日なんだそうだ。陽仁に聞いて、僕も何かできないかと思って」
葵「(あいつまたどうでもいいことを兄さんに吹き込んで……)そう、ありがとう。で、どうして風呂に?」
蓮「たまには、お前の背中でも流してやろうかと思ってね」(するり、とバスローブを脱ぐ)
葵「(それでさっき風呂の時間を聞かれたのか……)ふうん、珍しいことを考えることもあるんだな、兄さんも」
蓮、軽くシャワーを浴びた後、浴槽に入ってくる。
蓮「はぁ……お前と二人で風呂に入るのも、ひさしぶりだな」(気持ち良さそうにため息をつく)
葵「そうだなぁ。小さい頃はよく兄さんに身体を洗ってもらってたっけ」(懐かしげに微笑む)
蓮「小さくてふわふわで、可愛かったなぁ。……今はこんなに大きくなって」(ぽんぽんと葵の頭をなでる)
葵「(……照れ臭い)や、やめろよ。もう子どもじゃないんだ/////」
蓮「ふふっ、そうだな。さぁ、背中を流してやろう。いつもは結糸の役目だろうが、たまにはいいだろ」
蓮「広い背中になったなぁ。よく鍛えてるんだな」(ごしごし)
葵「うん……まぁね」(うとうと)←気持ちがいいので眠くなっている
蓮「(葵のやつ、うとうとしてるのか。かわいい)ついでに頭も洗ってやろう。ちゃんと目を瞑っておくんだよ」
葵「うん……」(うとうと)
蓮「(立派なアルファになったもんだ。あぁ、感慨深くて涙が……)ほら、終わったよ」
葵「あぁ、ありがと」(目をこする)
蓮「目をこすっちゃいけないよ。お前の目は人一倍デリケートなんだからな」
葵「うん、わかってるって」(おおあくび)
蓮「(大人になってもかわいいもんだ。普段は美しく気高い国城家の男をやれているが、やはり弟は弟だな……)」
(ごしごしと、バスローブを着た葵の髪を拭いてやる)
葵「兄さん、陽仁は?」(バスルームから出て、眠たそうに振り返る)
蓮「ん? 今日はいないよ」
葵「じゃあ、今日はこのまま一緒に寝ないか。たまには」
蓮「あ、葵……! うん、いいよ。そうしよう!」(目がキラキラ)
葵「じゃ、じゃあ俺のパジャマ、貸すよ」(ちょっと嬉しそう)
蓮「ああ、ありがとう」(うきうき)
——そんな兄弟の様子を、ドアの隙間から見ている者が二人……
結糸「はぁ〜〜〜美しい。美しい兄弟愛……」(うっとり)←葵が恋しくて実家から帰ってきた
御門「蓮……ほんっっとかわいいかわいすぎる。かわいすぎて頭がおかしくなりそうだ……」(鼻息が荒い)
結糸「陽仁さん、出張じゃなかったんですか?」(若干陽仁に引いている)
御門「いやぁ、仕事が早く終わったからさ、(蓮に会いたくて)いそいで帰ってきたんだけど……」(鼻息が荒い)
結糸「今夜は兄弟水入らずにしてあげましょうね。俺、客間で寝ることにします」(御門をドアから引き離す)
御門「あ、あぁ……そうだな。葵には妬けるけど、兄弟の時間も大事だもんな」(名残惜しそう)
結糸「さ、ほら、行きますよ! 陽仁さんも、蓮さまの部屋でちゃんと寝てくださいね! 夜這いとかしたらダメですよ!」
御門「結糸くん……君は俺をどんな目で見ているんだ……」
おしまい♡
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