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第1話  <第1章>

「んっ・・・んんっ、もうダメ」 「んー、あと少しだけ」 「んん・・・ぷはっ、ダメだってば。辛くなるの征治さんだよ?」 ぐっと力を込めて征治さんの胸を押し返す。 「明日の朝、4時半起きの人は誰ですか?早く寝た方がいいって」 「ちぇ、つまんないのー」 子供みたいな台詞を吐いて、僕に覆いかぶさっていたキス魔が、渋々身を引いて隣にゴロンと横になった。 いつもの様に征治さんの部屋に泊まりに来ている土曜の夜。 だけど、今夜はムフフなことはお預けの約束だ。何故なら明日、征治さんが早朝から接待ゴルフに出掛けなければいけないから。 「面倒だなぁ。なんで、静岡くんだりまでゴルフしに行かなきゃならないんだ。俺は陽向とイチャイチャしてたいんだ」 「ふふふ、もうそれ5回ぐらい聞いたよ」 もぞもぞと動いていつもの定位置に収まる。 「日曜なのにお仕事で大変だね。だけど、一緒に打ちっ放しに連れて行ってもらったの、楽しかったよ」 今日は、久し振りだからと打ちっ放しに予習しに行く征治さんに付き合った。ゴルフは得意じゃないと征治さんは言ったけれど、スパーン、スパーンとボールを飛ばす姿はキマっていて、凄くかっこよかった。 そのうち、「見てるだけじゃつまらないでしょ」と、征治さんが初めてクラブを触る僕に手取り足取り教えてくれた。 体が近くて、あちこち触れてドキドキしちゃったのは内緒。 最初は「なんで、止まってるボールを打つのがこんなに難しいの!?」と悪戦苦闘したけれど、最後の方には何本かに1本はスコーンと飛んでいくようになって気持ちよかった。きっとコーチが良かったのだと思う。 「ほんと?それなら良かった。今週は部屋探し出来なくてごめんね」 「ふふ、それも何回も聞いたよ。大丈夫、楽しみが延びるだけだって」 征治さんがチュッと音を立てて額にキスをしてくれる。 「おやすみ」を言い合って、いつもの様に抱き合い、目を閉じた。

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