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第2話

翌朝早くに征治さんを見送った後、僕もそろそろジョギングに行くかなと思いながらベッドにゴロンと横になった。 ふわりと征治さんの匂いが鼻に届く。僕の大好きな匂い。 僕にとっては強力な精神安定剤でもある。 だけど、最近は別の効果も持ち始めているような……。 現在、僕は絶賛リハビリ中で、まだ征治さんと体を繋げられていない。 自分の体ながら全く不可解なのだが、上手くいくときと全然ダメな時とムラがあるのだ。 パニックは最初の一度きりだけど、今でも時々、男娼の頃の記憶が突然パッと映像で浮かんだり、僕を精神的に嬲るために投げつけられた言葉が聞こえてきたりして、そんな時はダメになることが多い。 逆に上手くいくときは……優しい征治さんの腕の中でいっぱい蕩けさせられて……イメージとしては、この前近所のパニーニの美味しい店で飲んだココアに載せられたマシュマロ? 甘く温かい液体に包まれて、段々溶けて形が保っていられなくなる、あの感じ。 だけど、手を伸ばせば逞しい胸や腕に縋りつけるし、愛しい名前を呼べば甘いキスが返って来る絶対的な安心感の中で、純粋に快感に浸って熱を解放できることが増えた。 そういう時はそのまま先に進んでもらっていいと言うのに、征治さん的には「まだまだダメ」らしく、僕一人が優しい愛撫に散々悶えさせられて()ってしまうという、大変申し訳ないことになっていた。 征治さんは僕に気を遣わせない為だろう、いつも下は履いたままだけど、征治さんのものはいつも硬くなっていて、僕を()かせた後シャワーなどで抜いているみたいだ。 それがどれほど忍耐力を要するものか、快感を思い出した同じ男として、そして男の性欲を目の当りにしてきた者として、嫌というほど分かる。 僕のケアを最優先に考えてくれる征治さんの深い愛を感じながらも、少し淋しくもあった。 早く二人で愛し合いたい。 今やそれが僕の切実な願いだけれども、それを考え過ぎるのも良くない作用があるだろう。 だから、不満や苛立ちを微塵も見せることなく、 「感じて()けるようになったなんて、素晴らしい前進じゃない。今はまだまだ慣らし運転だよ。でも、そのうちきっと良くなる」 と、優しく包んでくれる征治さんに甘えることにしていた。 だけど、このまえ。 大きな変化があった。

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