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第35話  <第4章>

陽向のお願いに、たじろいだ。 今夜の陽向は、開放感からか、それとも俺の興奮が伝わったのか、早くから息を乱し素直に快感に身を任せている様に見えた。 刺激に身を捩り、白い胸をのけ反らせ、快感を焦らされ華奢な腰を震わせている。そしてこの表情・・・。 陽向の感じている姿は、堪らない。 恥ずかしがり屋の陽向が、桃色の唇から甘い吐息を漏らし、ほっそりとした喉元を晒し、顔を赤くして控えめに喘ぎ声を上げる姿は下半身にクる。 なにより破壊力があるのは、あの大きな目だ。熱に浮かされたように瞳を潤ませ、切なそうに眉を寄せて見上げられると、それだけでゾクゾクと痺れるような快感が押し寄せる。 もっとそんな顔をさせたくて暴走しそうになる自分に、俺はいつも必死でブレーキを掛けている。 男の欲望を目の当りにして、陽向がまたセックスを恐れる気持ちを思い出したら、という懸念が俺自身もなかなか拭えない。 そのくせフットブレーキにエンジンブレーキをフル稼働させなければならない自分の情欲の深さに呆れつつも、このストイックな行為に一種の喜びも見出している。 自分が快感を得ることにまだまだ臆病な陽向を、俺が少しずつ変えていくのだ。 ゆっくりでもいい。いつか全ての怯えが陽向の中から消え去った時、陽向の方からなりふり構わず俺を求めてくれるようになるぐらいまで。 そしていつかは二人でフルスロットルで疾走できる日が来ると信じていれば、苦行の様な夜も楽しみに変わる。 リハビリと称して陽向だけを達かせていたときは、サイドブレーキまで引いて頑丈に自分を固定し、陽向を寝かせた後バスルームで処理するまで耐えた。 もっとも苦行といっても、陽向を物理的に抱きながら達けないという意味で辛いだけだ。 俺が与える刺激に打ち震え、潤んだ目でこちらを見上げ、切なげに俺の名を呼び縋り付く陽向の姿は、これ以上ないほどの興奮をもたらし、胸には満足感と愛しさがこみ上げる。 だから、陽向の脳内が「セックス=俺との愛の行為」に完全に書き換えられるまで、いつまででも耐えるつもりでいた。 だが、ひと月前から状況が変わった。 陽向の「お願い」に、俺はあっさり陥落してしまったのだ。 俺も相当情けないが、あれはズルい。 めったに我儘も言わず強い自己主張もしない陽向の、「一緒に」という可愛いおねだりに俺が抵抗できるはずもなかった。 しかし、あれは結果オーライだったように思う。 吐精の快感は勿論の事、俺の腕の中で感じている陽向を見て、一緒に駆け上がる瞬間は素晴らしかったし、なにより陽向も自信を付けたようだった。その証拠にあれ以来、不調で反応できない夜は来ていない。 あれから少しずつ陽向を開いて行こうと試している。 今夜は陽向のものを含んでみた。 正直、陽向のものがフルフルと震えているのがかわいくて食べたくなってしまったのだが、陽向の慌てふためきようは想像以上で、あまりの可愛さに頭から丸飲みしたいくらいだった。

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