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Ⅲ いま、吹き荒れる嵐!②

「お兄様、服っ」 「要らないよ」 大事なムスコは、どうにかブーメランの中に収まっているから、ギリギリセーフ。 ……って。そんな心配している場合じゃない。 「お兄様、待って……」 カチャン 嗚呼々々々々々々~~ッ!! 遂に、至上最悪の鉢合わせが起きてしまったァァァァーッ♠♠♠ 両手にエコバッグを引っ提げて帰ってきた、二人と…… 仁王立ちのお兄様 玄関で、地獄が蓋を開けてしまった。 「お兄様っ、この二人はっ」 「君達は、お隣さんかな?」 「そそ、そう~!間違えて入ってきちゃダメだよー。二人は隣の部屋」 「なに言ってんだ、イク?俺達の(うち)、ここだぞ」 「家の中で、部屋は隣同士だけどな」 ギャァァァーッ 空気読めー! ほんとの事、言うなーッ! 「郁巳が世話になってるね」 「はーい、いつもお世話してまーす」 「朝昼晩、お世話してまーす」 あほー! 空気読めー! 空気読めないなら、喋るなーッ! 「朝昼晩、いつもお世話してくれてるんだね」 「……あのっ、朝昼晩っていうのは~」 「郁巳には聞いてないよ!」 ヒィッ! 「ねぇ、イクミ」 「この人、誰?」 指差すんじゃない、お前達! この人はっ この御方はァァーっ 「初めまして。郁巳の兄、一条 尊斗です」 黒ブーメラン一丁で優雅に微笑むお兄様は、魔王だった。

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