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第3話
皇の二本の脚の間に大きな体を割り込ませ、信は抵抗する皇を無視して身を沈めていった。
「っあ゛……く、苦しい、太っと……あ、う、う……」
初心者のくせにうまく解せていたらしく、皇が想像していた激痛が襲ってくることはなかった。
ただ質量が大きすぎるあまり、とてつもない息苦しさを感じる。
「んん……お、入った」
「は、入っ…?」
信が、吐息と喘ぎの入り交じった唸りを漏らした。
低く喉を鳴らす彼の姿に、胸がどくりと脈打ったことなど皇は断じて認めない。色っぽい、だなどとは断じて思ってない。
「キツいかと思ったけど…結構平気そうだな」
あの人体兵器が全部入っただと。信じられない心地で皇は後ろを向いたが、さすがにこの体勢ではそれを確認するのは難しい。
しかし、信がそれを確かめさせるように体を皇の背中に密着させてきたことで、その密着具合から間違いなくあの凶器全部が押し込まれたらしいとわかった。
すると一種の虚脱感めいた、今まで胸中を渦巻いていた様々な感情の全てが消え去ってしまって、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちを抱く。
皇のような男にとって、性行為は征服者と被征服者とを分ける行いだった。
だから今、自分は明確にこの織田信という男に征服されたのだ。
プライドの高い皇がその屈辱に耐えられるわけもないはずなのだが、不思議と嫌悪感は湧いてこなかった。 ただ、何かが終わってしまったような空虚さだけが彼の内側を占めている。
それにしても。
「ま、信」
「んあ?なに?」
「そん、な、くっつくな。暑苦しい…」
身体をすっぽり包み込まれるようなこの体勢は、どうも落ち着かないと皇は思った。体格差ゆえ、大柄であるはずの彼の体はすっかり彼を上回る巨体によって覆われている。
誰かを抱き締めることは多くても、抱かれることは全くない皇には居心地の悪いものだった。
「知らね。もう動いていい?」
「知らねってお前はマジでっ…ひっ、」
ずちゅ、と自分の体からは聞こえてほしくなかった卑猥な音が響いて、皇は声を漏らした。
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