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大好きな彼と共に未来へ
一生に一度きりの結婚式は、終始和やかなムードで進んだ。
誓いのキスは、みんなに見られるのが恥ずかしいから、出来れば省いて欲しかったけど。彼がどうしても、と譲らなかった。
「真尋、綺麗だよ」
向かい合って、見詰め合うと、彼がうっとりとした満足そうな表情を見せてくれた。
ここ半年で、男らしさに更に磨きがかかった彼。目茶苦茶格好いい。
「惚れ直した?」
図星を突かれ言葉に詰まった僕に、彼は苦笑いを浮かべながら、頬っぺたにチュッと口付けをしてくれた。
「真尋おめでとう‼」
「先輩、もう一回‼」
お~~ぉと、拍手喝采が巻起こった。
まさかのアンコールに、彼、照れながら今度は、唇に軽く口付けをしてくれた。
もう、イジワルなんだから。
月曜日から、どんな顔して学校へ行けばいいの?
「そう、睨むな。俺達が新婚なの みんな知ってるし」
彼の腕が腰に回してきて、抱き寄せられ、キス寸前まで顔を擦り擦りされた。
キァァ~~‼
女子達の、溜め息混じりの黄色い声が、あちらこちらで上がった。
式の最後は彼の挨拶と、香苗さんと、真姫お姉ちゃんへの花束贈呈。渡す前から、二人ともすでに泣きじゃくっている。
「二人とも泣き虫なんだから」
彼、呆れていた。
「お母さん、僕を『息子』として、真尋さんの『嫁』として、温かく迎え入れてくれたことに深く感謝します。これからもーー」
泣かないように、間違わないように、何度も練習したのに。どうしよう、涙が込み上げてきた。手でごしごし拭っていると、彼が代わりに続けてくれた。
「母さん、真姫さん。真尋共々、これからも宜しくお願いします」
僕が香苗さんに渡し、彼が真姫お姉ちゃんにそれぞれ手渡すと、二人とも嗚咽を漏らしながら声を震わせ泣き始めた。しかも、香苗さんの隣いた彼のお父さんまで、貰い涙でわんわん泣き始めてしまった。
最初から最後まで、涙、涙の、結婚式。
たくさんのクラスメイトにも祝福してもらい、僕も彼も、幸せになろう、改めてそう誓い合い、そっと口付けを交わし、手と手を絡ませた。
大好きな彼と共に生きる、未来への歩みが始まる。
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