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その後

僕と彼が結婚式を挙げる事は、誰にも内緒にしていたんだけど、何故かSNSであっという間に学校中に知れ渡って大騒ぎになった。理事長である彼のお父さんが事態を収拾するのに奔走してくれた。僕や彼のクラスメイトが学校側に何度も掛け合ってくれて、自主退学は何とか免れ、彼は無事卒業して、大学に進学し、僕も進級する事が出来た。 最初は、身内だけでこじんまりと式を挙げるつもりでいたけど、世話になったクラスメイト全員と担任の先生方を招待して、外で式を挙げる事にした。香苗さんが懇意にしている農園の広大な芝生を借りて、準備からすべて手作りの結婚式。派手さはないけど、みんなの温かさが身に染みる。 色とりどりの花で飾られたバージンロード。僕が一緒に歩いて欲しい親代わりの二人が側にいてくれる、それだけで泣きそうになった。 「真姫おねえちゃん、ありがとう。お父さんもありがとう」 「今日の主役が泣いてどうするの?一番の幸せな顔をしないと」 そう言ってる本人がすでに涙ぐんでいる。 「真尋にくれてやるのが惜しいな」 彼のお父さんまで目頭を押さえていた。 「真尋、真尋さんが待ってるから」 「うん」 涙を払い、二人に手を取って貰い、バージンロードを歩き始めた。左右に立つ、クラスメイト達や、香苗さん達が温かい拍手を送ってくれた。 みんなありがとう。 香苗さんーーお母さんもありがとう。 感謝の思いを胸に、祭壇で笑顔で待つ彼の許へ歩を進めた。

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