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テディとの暮らし 2

 夕方近くまで木を植えたり森の中で若木を探したりして、日が落ちる前に家に帰ってきた。 「俺、野菜採ってくるね」  テディがうなずくのを確認して、俺は畑に向かう。  この家は街から遠くて食料の買い出しも大変なので、テディは小さな畑で野菜を育てている。  俺は野菜の収穫なんか学校農園や遠足なんかでほんの数回経験したことがあるだけだったので、毎日成長する野菜の中から食べごろのものを選んで収穫するのが楽しくて、いつもうきうきしながら収穫していたら、テディが毎日の食事に使う分の野菜を収穫するのを俺の役目にしてくれた。  この世界では出来ることが少ない俺なので、そうやって自分の役割を与えてもらった時は、ちょっとうれしかったのを覚えている。  今日も食べごろの野菜を数種類採って井戸で洗い、台所で先に夕飯の準備を始めていたテディのところに持っていく。  男の二人暮らしだし、調理器具の種類も少ないので、おかずはスープなどの簡単なものが多い。  肉は街でベーコンや干し肉などの保存食も買うけど、森の中にテディが仕掛けた罠で獲れたウサギなんかの小動物を食べることもある。  罠にかかった動物は、肉を食べて毛皮は街で売るので、上手に解体しなければならない。  最初は俺も、解体の時もテディの手伝いをさせてもらおうと思っていたけど、解体作業を隣で見ているだけでも気分が悪くなってしまい、とても何か手伝える状態ではなかったので、申し訳ないけれど解体の手伝いは諦めることにした。  俺が手伝えないことにしょんぼりしていると、テディがなぐさめてくれてかえって申し訳なかったので、それからは手伝えないことを気にするよりも、自分に手伝えることを精いっぱいがんばって手伝うように心がけている。  食事に話を戻すと、主食は小麦と芋がメインで、米はないようだ。  街でパンも買ってくるけど、そんなに何日ももたないから、小麦粉を甘くないパンケーキにしたり、団子にしてスープに入れたり、芋をふかしたりする。  今日も2人で作った団子入りスープがメインの夕飯を食べながら、俺が一方的にテディに話しかけ、テディはそれに首を縦や横に振ったり、たまに唇を動かして答えてくれる。  そうしてなごやかな食事を終えた後は、わりと早く寝てしまうことが多い。  ランプの明かりはあるけれど、燃料の油が高いらしいので、節約のためにも早寝早起きの太陽に合わせた生活をしているのだ。  風呂はあるけれど薪で沸かすもので、薪がたくさん必要なのでめったに使わず、普段はお湯で体を拭く程度だ。

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