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テディの事情 1
追っ手の魔術師たちを振り切った後で地面に降り、テディの魔法を使って高速で走ったり体を透明にしたりしながら日が暮れるまで移動して距離を稼いだ。
「国境を越えたから、もう大丈夫だ。
この国は今は休戦中だが敵国だから、追っ手もここまではそう簡単には来られない」
テディはそう言うと、魔法で見つけた洞窟の中に毛布を敷いてくれたので、2人で並んで座る。
「ずっと歌っていたが、声を聞いても怖くなかったか?」
「あ、うん。
なんか知らない間に声恐怖症が治ってたみたいで、もう声を聞いても全然怖くないんだ。
たぶん、テディのおかげだよ。
テディと一緒にいられて幸せで、もう嫌なことを思いださなくなったから治ったんだと思う」
「そうか、よかったな」
テディはそう言うと、俺の肩を抱き寄せる。
こうして安全な場所でテディのぬくもりを感じていると、改めて助かったんだという実感がわいてくる。
「それより、テディもしゃべれるようになったんだね」
「ああ。俺も和生のおかげだ。
和生が連れて行かれて、魔法が使えたら和生のことを助けられたのにって思ったら、ずっと出なかった声が出るようになっていた」
「そうだったんだ。
──テディ、助けてくれてありがとう。
テディが助けに来てくれて、すごくうれしかった」
「ああ、俺も和生を無事に助けられてうれしい」
少し涙声のテディにぎゅっと抱きしめられ、俺たちはそのまましばらく抱きしめ合い、喜びを分かち合った。
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テディは森のあの家から、お金や旅をするための荷物を持ち出して来ていた。
「あの家に帰るとまた連れ戻されるから、このまま遠くに行こう。
そして異世界人でも閉じ込められずにすむ国か、あの森の家のように2人だけで暮らせるところを探そう」
「うん。
ごめんね、テディ。
俺のせいで、森の家も仕事も放り出させてしまって」
「いや、和生のせいじゃない。
それに、森で木を育てていたのは仕事じゃなくて、俺の自己満足のためだったから。
だから、もういいんだ」
そう言うとテディは詳しい事情を説明してくれた。
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