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歌声 2
テディは窓の前に立つと握っていた俺の手を離し、俺を横抱きに抱き抱えた。
そしてずっと歌っていたチューリップの歌をやめたかと思うと、今度は英語の歌を歌い出した。
「わっ!」
テディが英語の歌に切り替えた途端、テディの体が俺ごと宙に浮き、俺は慌ててテディの首に腕を回してしがみつく。
よく聞けば、テディが歌っているのは俺をさらった男が空を飛ぶ時に歌っていたのと同じ歌だ。
テディはすごい速さで空を飛んでいて、俺が閉じ込められていた砦のような建物は、どんどん後ろに遠ざかっている。
その建物から人が飛び出して来て、こっちに向かって飛んでくるのが見えて、俺は慌てて叫ぶ。
「テディ! 魔術師が追いかけて来てる!
わっ、なんか飛ばして来た!」
叫んでいる間に、魔術師の方からミサイルのようなものが飛んでくる。
よく見ると魔術師は2人いて、人がもう1人を抱えているから、たぶん1人が飛ぶ歌を、もう1人がミサイルの歌を歌っているのだろう。
俺が慌てているのに、テディは小さくうなずいただけで、そのまままっすぐ飛び続けている。
「ミサイルだって!
よけて!」
叫んでいる間にミサイルは俺たちに追いついて来て、俺は思わず目をつぶる。
すぐ側で爆発音がして、俺は一瞬死を覚悟したが、いつまで経っても痛みは訪れなかった。
「……あれ?」
不思議に思って恐る恐る目を開けると、目の前に2発目のミサイルが迫っていた。
目を閉じる間も無くミサイルが爆発したが、その爆風も熱も見えない壁のようなものに跳ね返されて、俺とテディの体に届くことはなかった。
「もしかして、バリアか何か?」
俺が尋ねると、テディは歌いながらうなずいた。
テディはそのままさらにスピードを上げ、追いかけて来た魔術師を完全に振り切ってしまった。
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