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罪滅ぼし 2
「和生くんが悪いわけではありませんよ、と言っても納得できないのでしょうね」
「はい……」
「そうですね……こう言う話を聞いたことがありますか?
これまで異世界人は国によって囲われ閉じ込められることがほとんどでしたが、最近になってこの国と同じように異世界人に自由を認める国が少しずつ増え始めているらしいのです」
「そうなんですか?」
「ええ。この国が異世界人に自由を認めることで結果的に異世界人の知識とこの国の技術が融合して国が豊かになったので、この国を真似る国が増えてきたそうです」
「へえ……」
それは確かにいいことだが、なぜジョンさんはいきなりそんなことを言い出したのだろうと内心首をかしげていると、ジョンさんはこう続けた。
「ですから、こうは考えられませんか?
この国での異世界人の功績が評判になれば、異世界人の自由が認められる国が増え、いつの日か君の出会ったイギリス人のいる国までそれが広まるかもしれません」
「あ……」
それはあまりにも途方もない話だ。
あの国はここから相当遠いし、他国と戦争をしているというから、あの国で本当に異世界人に自由が認められるかどうかはわからない。
それでも、もしかしたらと思うと、少し気持ちが明るくなる。
「……でも俺、異世界人の評判のためにできるようなことなんて何もありません」
「本当にそうでしょうか?
君が教えた日本の歌が便利だと喜んでいる魔術師が何人もいるのに?
それにこの前ドレスの工房に頼まれた内職で作ったバラの花、仕事が丁寧だって褒められていたでしょう?
ほら、君もちゃんと、異世界人の評判を高めるのに一役買っているじゃありませんか」
「それはそうかもしれませんが……」
「ねえ、和生くん、焦ってはいけませんよ。
君はまだ若いのです。
できることの一つ一つは些細なことでも、君はこれからもその些細なことを積み重ねていくことができます。
結局のところ、人一人にできることは些細なことに過ぎません。
それでも何もしないよりはずっといいと、私は思います」
ジョンさんの言うことを俺はじっくりと噛みしめる。
確かに俺に出来ることは些細なことだ。
けど、何もできないわけじゃない。
「……探してみます。自分に出来ることを」
俺がそう言うと、ジョンさんは「ええ」とうなずいた。
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