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★新年SP★ おこ💢なハルオミさん①
「……これでよし、っと」
脱衣所がツルっツルのピッカピカだ。
アキヒトのせいで、ユキトが風呂場の脱衣所をワックスがけしてしまった。
ハルオミさんが転んで怪我したら大変だ。
バスマットを敷いて……よし、できた。
なにしろハルオミさんは、俺より十歳年上のアラサー。
足腰にくる年代だ。
(正月早々、脱衣所ですっぽんぽんで引っくり返ってる我が夫は見たくないぞ)
………いや、ちょっと見てみたいかな?
ダメダメ!俺は貞淑な妻なんだから!
すっぽんぽんで引っくり返ってる……ハルオミさんは……見たく…ないんだ………アハハハハ♪
『私が引っくり返るのは、ベッドの上だけだよ』
「ひっ」
『今夜、ベッドで引っくり返ってあげるから上に乗るがいいよ?淫乱妻』
シュヴァルツ カイザーに思考を読まれている★
ハルオミさんが、おこ💢だ。
『決めたよ。今夜の体位は騎乗位だ』
今夜も………
「ヤるのか」
『ヤらないという選択肢はないよ。年明け恒例の五穀豊穣・子孫繁栄の儀式だよー!』
「うそだッ」
そんな儀式、聞いた事ない!
「なにが恒例だ」
『恒例だよ。昨年はバックだったね!
後ろから抱え込んで、押さえ込んで、押し込んだら、君は腰を振って突き上げて。鳴き出す君は、獣のようだったよー♪』
「言うなァーッ」
正義の鉄槌・プシュウゥゥゥー
………が、できない。
ハルオミさんはガラス戸を一枚挟んだ、この中だ。
クッ、必殺プシューが届かない。
ピチャン
水滴の跳ねる音が聞こえた。
『君もどうだい?』
入るものか!
いま浴室に入ったら、ハルオミさんの思う壺だ。
『入らないのかい?』
「入らない」
『寂しい事を言わないでおくれ。入るだろう』
「入らないてば」
『入る!』
「入らない!」
『入るよ!私のちんこは!』
………………は?
『昨夜も君の中に入ったんだからね!』
入るって、その事かァァァーッ
『湯船の中で挿れるちんこは格別だよ!準備はいいかい。さぁ、おいでー!』
「入らんー!」
『準備ができていないのかい?』
ポキポキポキっ
……どうしてハルオミさん、指を鳴らしたんだ?
『私が準備してあげよう。君のイイトコロを知り尽くしているゴールドフィンガーだよー★』
そういう事かァァーッ
「ハルオミさんの世話にはならん!」
『………』
「………」
『………』
声がしない。
どうしたんだろう。
まさか!
ハルオミさんは俺より十歳年上のアラサーだ。
(風呂場で倒れたんじゃ……)
大変だ!
「ハルオミさっ」
ガラガラガシャンッ
「ねぇ?誰が誰の世話にならないって?」
ガラス戸がけたたましい悲鳴を上げて開いたのは、その時だ。
腹筋の割れた肉体美を惜しみなくさらし、更には天高く直立する太く凛々しく血管の浮き出た逞しい雄をさらして、仁王立ちしている。
うなじから、肩の筋肉へ湯が伝った。
水も滴る、我が夫……
「誰が誰の世話にならないのかな?」
声がワントーン低い。
「それとも、ユキトやアキヒト君の世話にはなるという意味なのかな?」
肌から立ち上る湯気が、怒りのオーラと化している。
「私は君よりも十歳年上のアラサーだから、耳が遠いようだ。『誰が誰の世話にならないのか』……聞こえる声で教えてくれるかい?」
ハルオミさんが、おこ💢だ。
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