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★新年SP★おこ💢なハルオミさん⑫

ごめん、ハルオミさん。 「ごめんね」 冷たい指を。 頬を包む手を。 掴んでいた。 ぎゅっと。自分の手が痺れるくらい、ぎゅっと。 「ごめん」 どうしても。この手を離すわけにはいかないんだ。 大切なものは手離しちゃいけないから。 あなたを離さない。 (ほんとはあったかい) 俺には分かる。 大切に思うあなただから。 あなたを大切に思いたい。俺の願いを叶えてくれるのは、あなただけ。 『好き』の気持ちが溢れ出す。 あなたを大切に思えば思うほど『好き』がいっぱい溢れてくるんだ。 大好きな気持ちが重なって、愛情を作る。 想いはどうしたら届くのだろう。 どうしたら届ける事ができるのだろう。 夫としても。 家族としても。 αとしても。 あなたを一人の男として、愛している。 あなたの心が欲しいよ…… 想いを、気持ちを受け止めてほしい。 あなたに受け止めてほしい。 「ごめん、我が儘で」 大切なものは手離しちゃいけないから。 大好きなあなたの手を握ってる。 心臓の音、聞こえるね…… トクン、トクン、って。額をくっつけたら、左胸の奥が奏でていた。 「心のいないハルオミさんは、ハルオミさんじゃない。俺が好きなのは、ハルオミさんなんだ」 気持ちを手離しちゃいけない。 大切に想い続けたい、あなたの気持ちを。 「欲しいのは、ハルオミさん!」 あなたの手を握る。 気持ちを込めて握ったら、あなたは絶対…… ………………ぎゅっ 握り返してくれるの、知ってるよ。 気持ちがなくちゃ嫌なんだ。 あなたの気持ちごと…… (俺は、あなたを愛してしまったから) 「我が儘な妻だね」 ぎゅっ 握り返すあなたの温もりが優しい。 「君をこんなに我が儘に育ててしまったのは、夫の私だから」 クニクニ…… 右手が弄る耳たぶを舌がつついた。 「責任を取らないといけないね」 ……チュっ 耳たぶに口づけした唇が、頬っぺたにも落ちてきて。 ナツキ、って。吐息が低く耳朶をくすぐった。 「これでいいかな?」 「はい」 「少し違う」 俺、なにか間違えた? 問いかけるように見上げた瞳を傾げると、静かに見つめる藍の双眸が揺れた。 「お返事はここにしてほしいな」 ……はい、ハルオミさん。 「正解だよ」 俺もハルオミさんのほっぺに、チュっ♥

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