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【お正月♪】初詣はあまねく愛に包まれて⑨

いい匂いがする…… これは、えぇっと~ (俺の大好物の♪) キュルルルルゥ~ 「わわっ」 己が腹の虫で目覚めるなんて、なんたる失態。 Ω解放軍・元統帥として恥ずかしいぞ。 今は総理大臣に最も近い男・日本国副総理大臣 シキ ハルオミの妻なのだから、もっとしっかりしないとな。 ……ん? 決意したそばから、あれなのだが。 なぜ俺は、我が家のベッドで寝てるんだろう。 初詣に行って、甘酒飲んで…… (甘酒で酔っぱらったとか) そんなばかな。 (じゃあ) 「初詣が初夢?」 ややこしい! 「夢じゃありませんよ」 アキヒト! 「楽しくって疲れた?眠ってしまったナツキを兄上の家に運んだよ」 ユキト! 「もちろん、お姫様抱っこだ」 ハルオミさん! ヒィィ~、恥ずかしい~ 「恥ずかしくありませんよ」 「わっ」 俺の体、宙に浮いた。 「俺の大切な統帥です」 アキヒトの顔が間近にある。 「ねぇ……」 吐息が音を立てる。触れそうな唇が…… 「キスしていいですか?」 小さな弧を描いた。 「ダメだって言ってもしますけど」 悪戯な微笑みにドキンッ 鼓動が鳴る。 「リクエストは受け付けますよ。唇ですか?それとも頬っぺた?……それとも、俺しか知らない統帥が感じてしまう恥ずかしいアソコ?」 「なッ」 「答えないと勝手に大事なアソコにキスしますよ。 ……嫌ならキスして欲しい場所言って。おねだり、できるでしょ?」 「アキヒト……あの」 「はい」 琥珀の瞳が揺れ蠢く。 「聞いてあげますよ」 俺に選択肢はなくって…… 「ダメだよ!」 「キスしないよ!」 「わっ!」 体が引き剥がされて、すっぽり二人の腕の中だ。 「エロα兄弟、邪魔するな」 舌打ちしたアキヒトに、 「エロじゃない」 ハルオミさんが俺を抱いてたしなめる。 「ドエロだよ」 (………そこなのか、ハルオミさん!) 「違いますよ。兄上」 うんうん。 間違えた時は弟の出番だぞ、ユキト。 「運命のドスケベα兄弟です」 「嫌だァァァーッ」 俺の運命は『ドスケベ』かァァァーッ 離せっ! ユキト、ハルオミさん。 俺は運命に負けない! 「おやおや?急に暴れ出したね」 「運命のドスケベ王子様の俺達に抱かれて興奮してるんでしょうか、兄上」 「嫌がってるんだよ、愛人」 正しいぞ、アキヒト。 「こちらへどうぞ。俺にはドSというスパイスがありますよ」 「それも嫌ァァァーッ」 この屈強な腕から! 運命から脱出しなければ! 俺の未来はない。 ウオォォォオオー!! 「更に暴れ出したね」 「どうしたの?」 「どうしたんですか?」 「私の……」 「「俺の」」…… 「「「皮被り姫💙」💜」💛」!!! 「誰が皮被り姫だァァァァーッ!!」 受けよ。 プシュウゥゥーッ💢 プシュウゥゥーッ💢 プシュウゥゥーッ💢 怒りの鉄槌 三連発。 ハァハァハァハァ…… 「頭から湯気出して寝てろ」

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