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アンハッピーバースデイもありかもしれない♥!?【後編】
「でもその前に、君の誕生日だよ。一緒に過ごそうね」
「はい」
「早く私に追いついておくれ」
「えっ」
えっと……えぇーっと~?
「流れ星に願ったんだけどね」
「なにを?ハルオミさん」
「君と私が同い年になれますように」
「無理!」
一年に一歳しか歳はとれません!
「そうなのかい?」
「そうです」
歳が離れてたって、俺は全然気にしてないのに。ハルオミさんは年の差を気にする。そんなあなたが微笑ましい。
フフっとマスクから零れた吐息を、あなたは見逃さない。
「おや、私はなにか可笑しな事を言ったかな」
「フフ」
「また笑って……教えてくれない君は意地悪だね」
翻ったあなたの瞳に、天頂から流れた星の光が灯った。
「これ以上は体を冷やしてしまう。ベッドに戻ろうか」
遠ざかる窓辺に流星が映った。
スプリングが弾んだ。
「ハル…オミ……さん?」
俺、今から眠るんだよね。なのに、どうして?
あなたの瞳が落ちる。
蒼く深い海の色の中に落ちる。
(キスされる……)
瞼を閉じた。けれど、いつまでたってもあなたに触れられない。
「………セックスしたい」
「ハルオミさんっ!!」
ぱちり
見開いた瞳に深海が飛び込んだ。
「流れ星に願うより、君にお願いした方が叶うだろう」
深海の瞳が波色をたゆたえ囁いた。
「君は?」
悪戯に微笑む。
「私とセックスしたいかい?」
深海に引き寄せられ、どんなに抗おうとももう……
「どっちだい?」
抜け出せない。
囚われて、溺れていく。
「ナツキ」
トクンッ
名前を呼ばれて、鼓動が跳ねた。
「………………俺も」
「うん……」
ハルオミさんが俺の答えを待っている。
「したい」
「なにを?」
(やっぱり……)
恥ずかしい言葉、言わなきゃいけないの?
「言ってくれないと分からないよ」
「せ……くす」
「もう一度」
(思考を読めるくせに)
「なにか言ったかい?」
(シュヴァルツ カイザーは意地悪だ)
「私となにがしたい?」
「……せっ…くす」
(聞こえたかな?)
マスク越しでも、ちゃんとハルオミさんに……
「じゃあ、私のなにが欲しい?」
「そんな事も言うのッ!?」
「言ってくれないと分からないと伝えた筈だよ」
でも!
それは……
その場所は……
お口パクパク
マスクの下は金魚さん★
「おかしいね。私は君の熟れた小さなチョコ乳首も、ヒクヒクつぶらなオスマンコも、すぐにお漏らしする可愛い皮被りちんこも大好きなんだけどね」
「ナァァァァァーッ!!」
あなたはッ
あなたという人はァァァッ
(俺の乳首の色も……)
大事な雄の象徴が、鉄壁の皮で防備されている事も……
(国家の最重要機密なんだァァーッ!!)
「このエロエロどすけべαがァァァーッ!!」
「おっと」
振り上げた拳は呆気なく捕らえられた。
「プシューはいけないね」
うねるシーツに両手を縫いつけられた。
「君の心も体も愛しているから」
深海の瞳がそっとささめいて、耳朶を吸った。
「私自身を待ち望んでヒクつくつぶらな淫孔も、君の右手と仲良しで少し嫉妬してしまう先っぽの隠れた恥ずかしがり屋の淫棒も、口にすると愛しさが増してくるよ」
………チュっ
「君の全部を愛している」
君はどうかな?
「ハルオミさんが好き。全部、大好き」
ハルオミさんの……
「大きいやつも」
「それだけかい?」
「ぶっとくて、硬いやつ」
「ほかには?」
「熱くて、ドクドクして、奥の奥まで突いてくる……」
「それで?」
「……俺を変になるくらい気持ち良くしてくれる」
「うん」
「白い種汁、いっぱいドピュドピュする、黒いたてがみの中にそびえる頑強な発射台」
「あぁ、そうだね」
チャプ、チュウっ♥
「それは、なんというのかな?」
顔も、耳も、頬っぺたも。
「ハルオミさんの………………」
全部、真っ赤。
………………
………………
………………
「ち………………んこ」
マスクの中の声だから、聞こえてないよね。
「デカマラと言って欲しかったね」
「えっ」
どうしよう、どうしよう、どうしよう★
(俺がッ!!)
ハルオミさんのちんこ好きだとバレてしまったァァァァーっ★★★
「前から知ってるよ」
「………………え♠」
「………」
「………」
「………」
「~~~」
「私のちんこも含めて、全部を好きになってくれて嬉しいよ」
ああっ!まともにハルオミさんの顔が見られない。
よりによって、ち……
「んこ」
「続けんでええわっ!」
んな卑猥な言葉♠
「大事なものだよ」
囁く吐息が耳元で追い討ちをかける。
「これがないと種付けできない」
「ハルオミさん!?」
た、た、た~~
「種。精子の事だよ。かけられるのも好きだね」
「好きじゃない」
「嘘つき」
「~~~」
……シュヴァルツ カイザーなんか嫌い。
「それも嘘だね」
「思考読まれた」
「君の思考も愛しているから、私のものだ」
あなたは余裕の眼差しで、俺を見つめる。
「雄同士の受精は難しいが、君を受精させるよ」
「それって……」
もしかして。
もしかしなくても。
あなたはゆっくり頷いた。
「来年の誕生日は三人で祝いたいな。君と、私。そして……」
あなたの大きな手が静かに置かれた。そっと俺の腹の上を撫でる。
「生まれてくる私達の新しい家族と」
一緒に祝えたらいいね。
目が合わせられない……
恥ずかしくて。
頷く事すらできない。
「おやおや……眠ってしまったか」
嘘寝して、ごめんなさい。
暗闇の中、温もりが降りてきた。
少し汗ばんだ髪を梳いて、指先に絡めとる。
「……私はね、君が思ってるような余裕のある夫じゃないんだよ」
(ハルオミさん?)
突然の告白ドキンッ、と心臓が脈打つ。
けれど瞼は開けられない。
目を開けたら嘘寝しているとバレてしまう。
「マスク……」
(ハルオミさんの手作りマスク?)
「これを付けておけばユキトもアキヒト君も、君にキスできない」
あなたに触れられる場所が熱い。
額も、頬も。
どうしようもなく熱くなる。
あなた今、どんな眼で俺を見ているのだろう。
「君を誰にも触れさせたくないよ」
心臓が熱い。
深海の瞳に見つめられて、鼓動が張り裂けそう。
「元気になったら、いっぱいセックスしようね」
(はい。ハルオミさん)
大きな掌が俺の髪を撫でてくれる。
ぽんぽん
「君が眠るまで添い寝してあげるよ」
(ありがとう。ハルオミさん)
頭を撫でてくれる手が心地良い。
………………
………………
………………
ん?
んんん?
(俺が『眠るまで添い寝』って、言った……)
ハルオミさんに嘘寝がバレてるー★!!
《おしまい♪》
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