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翌日午前11時
*
「後処理ミスっちゃったな…」
遥は粥をくつくつ煮込みながらボヤいた。隅々まで精液を掻き出したつもりだったが残っていたらしい。今度カナに会ったら怒られるだろう。
叶多は自分の喉の掠れがカナの喘ぎすぎによるもの、体の痛みは性行為によるものとは知らない。「眠り姫は何も知らないっと…」と、遥は溶き卵を土鍋に流し入れた。もう弟の体に対する罪悪感はかなり薄い。
「しかしビビるよな…。マジで叶多、昨日の夜のこと全然覚えてねえじゃん。すげーな『記憶の消去』ってのは」
カナは叶多の精神には負けるが、それでも干渉する事は出来るらしい。全ては無理だが、一晩半日くらいの主人格の『記憶操作』が可能だ。カナ曰く、あまりやると危険らしいが。
しかしそれでも、兄弟が今日も日常を過ごせるのはカナのお陰なのだ。前に聞いていた事とはいえ、遥は自分の見境の無さをちょっぴり反省する。
ふう、と遥は息を吐いた。
「さて、次のデートはいつかなぁ…」
END
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