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第1話 中庭の天使
普通だったら 青春真っ盛りの高校二年の夏休み
最悪な事に 友達と行っていた趣味のサーフィン中に 足の骨を骨折してしまった
部屋は個室で それなりに快適ではあるが、兎に角暇だ
テレビも漫画も飽きてしまった
「…はぁ」
溜息を吐いた瞬間、時計のアラームが鳴りガバッと身体を起こした
慎重にベッドから降りると、慣れない松葉杖を駆使して 窓際の椅子に腰掛けた
「来た!!」
毎日13時から30分だけ中庭に読書をしに来る子がいて、俺は密かにそれを楽しみにしていた
この入院生活で 唯一の癒しと言っても過言では無いと思う
その子は栗色の綺麗な髪をしていて 風が吹くとその髪がサラサラと靡き、それを耳にかける仕草がとても綺麗だった
ポーッと見惚れていると 30分はあっという間に経ってしまう
看護師さんに連れられて彼が立ち上がった時、不意に上を向いた彼とバチッと目が合い、驚いた俺は 咄嗟に隠れてしまった
「…何やってんだよ」
こんな気持ちを人に抱いたのは初めてだったし、よくよく自分の今までを振り返ってみると 今まで向こうから話しかけられる事ばかりで、自分から誰かに話しかけるという事を特にした事が無かった
だから今、どうしたら良いのか本当に分からなくて 困り果てている
「…感じ悪かったよな…最悪…」
先程よりも盛大な溜息を吐き出すと すごすごとベッドに戻り、そのまま不貞寝をしたのだった
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