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第2話 中庭の天使 Ⅱ

「…今日もいない」 目が合ってから三日 あの日以来、あの子は中庭に来ない 俺が不快な思いをさせてしまったからなのか、はたまた体調が優れないのか どちらにしても気になって仕方なかった 「…リハビリ…しなきゃだし…」 誰が聞いてる訳でも無いのにそんな言い訳を呟くと、松葉杖を持ち廊下に出た 自分のフロアをぐるりと一周した後 エレベーターに乗り 受付のある一階に降りた しかし 名前も分からないのに部屋番号なんて聞ける筈も無く、打ち拉がれる様に空いている椅子に腰掛けた正にその時だった 正面玄関から 彼が入って来たのだ スタスタと歩いて エレベーターに向かっている 「…退院⁇ 外泊⁇」 どっちでも良い 考えるより先に体が動いていて 俺もエレベーターへと向かった 「あ!! の!! 乗ります!!」 俺の声に 彼はドアを開けていてくれた その表情からは 何を考えているか読み取るのは難しかったが、とりあえず拒否されなかった事に ホッと胸を撫で下ろした 「ありがとう」 俺の言葉に 彼は軽く頭を下げるのみで、特に他には何も言ってくれなかった どうしようかと悩んでいる俺の目に 光る5階のボタンが飛び込んで来て、彼が俺の一階下に居る事を 勝手に頭の中にインプットしていた

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