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第11話
僕は雅治さんに引きずられ、リビングから出た。
向かっている先は…、雅治さんの部屋だ。
雅治さんの部屋には入ったことはない。
仕事に集中できないし、僕には難しい本ばかりで面白くないよ、と言われていたからだ。
そしてドアが開き、視界に映る光景に絶句した。
部屋の中には実験台のような、金属でできた小さなベッド。
そしてベッドには手錠。周りは檻で囲まれていた。
「さぁ、千佳。今日からはここで愛し合おうね。」
「まさ……は…るさん……?」
「なんで怯えてるの?千佳の親友を殺したから?だって仕方ないじゃないか。千佳と結ばれるために邪魔なものは排除しなくちゃ。そうだ。夜ごはんは何がいい?」
「ねぇ…、雅治さん…」
「何?」
雅治さんは笑顔で僕を振り返る。
さっきのことがなかったような、いつもの笑顔で。
「さっき茉歩が言ってたこと…、本当?」
「千佳を手に入れるためだから、仕方ないよ。そのおかげで今、こうして千佳と一緒に暮らせているんだもの。」
雅治さんは茉歩が述べた耳にも入れたくないような言葉の数々をあっさりと認めた。
手錠を嵌められ、ゆっくりとベッドに横にされる。
「これからも死ぬまでずっと愛してあげるからね。」
「愛してるよ、千佳。」
雅治さんは今までで一番の笑顔で僕に微笑んだ。
fin.
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