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(番外編)おぞましいときー1
「マスター……?」
扉の閉まった部屋に向かい、レイは小さな声でそう問い掛ける。
彼は伴侶であるアルバートを探して建物の中をずっと探していたようだ。そんな中、この部屋から物音がしたために足を止めていた。
ゆっくりと扉を開けながら、中の様子を確認する。だが、真っ暗なはずの部屋は薄明るくなっているが、誰もいなかった。
しっかりと自分の目で見るためにさらに開け、その中へと足を踏み入れる。
「えっ……?」
そこにいたのは探し求めていた者ではなく、自らの姿とかけ離れた姿をしているものであった。その場に鎮座するそれは、赤黒い触手を何本も蠢かせていた。
床には薄い水色の液体が、意思を持っているように波打つ。
「あっ、ごめんなさい……」
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