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奏人side

海のずっとずっと向こうに、日本っていう国があるってママが教えてくれた。パパと結婚して、ガーランドっていう国に来たんだって。 その日本に住んでいるじいじから、、毎月の様におっきな箱が送られくる。 「ママ‼はやく‼はやく‼」 ひとつ下の双子の弟、はると、ひろは、興奮して、大騒ぎ。 「待っててね、今、開けるからね」 二人とも、ママのお洋服を引っ張って、目をきらきら輝かせている。 「はる、ひろ、だめでしょ。ママを困らせたら。めぇ‼」 ママは僕が守るんだ。 はると、ひろをママから引き離そうとした。 「奏人、ありがとうね」 ママが頭を撫で撫でしてくれた。 すっごく嬉しい‼ じいじから送られてくる箱には、玩具や、お菓子など色んな物が、沢山入っている。 夢の宝箱だねってママが。 「陽人、この前みたくダンボールで指を切ったら大変だ。パパっておいで」 「大翔もだ。パパっておいで」 うちには、なぜか、パパが二人いる。 よそのおうちには、ママがたくさんいるのに。 ママが、アツって呼んでるパパと、佳大さんって呼んでるパパ。 ヨシパパは、怒ると怖いけど、いつも、ニコニコしてて、僕たちをすっごく可愛がってくれる。 アツパパも、毎日沢山遊んでくれる。 ママといつもラブラブ。おうちにいる時は、はると、ひろと同じでママにべったり。 僕だって、本当は、甘えたいのにな。 はるを抱き上げたのが、アツパパで、おろちて‼と駄々を捏ねる、ひろを抱き上げたのがヨシパパ。 「奏人、ママのお膝においで」 って、ママが。やったーー‼ ぶすくれる弟たちを尻目に、ちょこんと座った。 一番先に産まれてきた僕の特権。お兄ちゃんが、一番偉いんだぞ。 それに、ママのお手伝い大好きだもん。 一緒にガムテープをぶりぶり破って、宝箱をそぉーーと開けた。 先ず最初に目に入ったのは、かぼちゃの形をしたお洋服。 「奏人、王様から届いたお手紙に書いてあった事、覚えている?」 「うん‼王様のおうちで、ハロウィンするんでしょ」 「そう。その時に着るお洋服だよ」 「ふ~ん」 パパに下ろしてって、散々駄々をしていたはるとひろ。ようやく下ろして貰い、かぼちゃのお洋服目指し駆け込んできた。 「かぁいい‼」 「ふわふわ」 二人とも、大喜び。いいなぁ~、僕のはないんだよ。そんなに、騒がないで‼ しゅんと項垂れたら、アツパパが 頭をグリグリ撫でてくれた。 「奏人の分も、じいじちゃんと送ってくれたよ」 「ほんと⁉」 「あぁ」 ママが、ダンボールの中をごそごそ探してくれた。出てくるのは、はるとひろのオムツと、お菓子。僕のはなかなか出てこない。 「奏人、あったよ」 一番下に僕のがあった。ママ、ありがとう。 「奏人格好いいだろ⁉これは、カーボーイが着る服だよ。帽子もほら格好いいだろ⁉パパとお揃いだよ」 アツパパが、広げて見せてくれた。 「パパも一緒に王様のおうちに行こう」 「ごめんな。パパ、一緒には行けないんだ、でも、先に行って、奏人たちが来るの待ってるから、ママと、ダディと、マミィと、ヒーリーのお兄ちゃんと、直弥お兄ちゃんと一緒においで」 「うん」 ヨシパパも、お仕事。 奏人ね、忙しいの、ちゃんと分かってるから、 わがまま言わないで、お利口さんする。

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