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前夜
†
薄い唇が陶器のような白をした柔肌をなぞっていく。
その度に、赤い唇からは官能的な甘やかな喘ぎが放たれる。総吾 は悦に浸り、もっとさらにと彼を追い詰める。
浅く、深く。体内に打ち込んだ自らの楔を幾度となく穿てば彼もまた華奢な腰を揺らし、総吾の楔を咥える肉壁はけっして逃がすまいと強く締め付け、拘束する。快楽で赤く染まった頬を伝うのは一筋の涙だ。潤んだ大きな目に写るのは、自分を抱く余分な筋肉を持たない引き締まった身体の総吾ただ一人。
閏 は広い背に腕を伸ばし、巻きつける。
閏が嬌声を上げながら総吾の名を呼んだ。すると薄い唇がやってきて、喘ぎ声ごと塞がれた。
薄明かりの下、二人は深い闇に溶け込んでいった。
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