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第1話

10月といえばハロウィンだ。 街にはカボチャやオバケのディスプレイがあふれ、テレビでは連日ハロウィンイベントや仮装グッズが紹介されている。 コスプレ好きの先輩は、当然のようにそんなテレビの特集を前のめりになって見ている。 先輩が興味があるのはあくまで仮装の衣装の方であって、コスプレしているモデルの女の子には全く興味がないことはわかっている。 それでも、先輩が連日かわいい女の子のコスプレを食い入るように見ているのは、なんとなく面白くない。 先輩が他の女の子を見るのが嫌なら、先輩の目が僕に向くようにすればいい。 そんな単純な思いつきから、僕はハロウィン用のコスプレ衣装を買うことにした。 先輩はコスプレ衣装を買うときは、実物を見てから買いたいということで、量販店などで買っているようだが、僕はお店で女物の衣装を買う勇気はないのでネット通販を使うことにする。 ネット通販でもトップページにハロウィン特集があったので、その中からさんざん悩んで先輩が好きそうな衣装を注文した。 ハロウィン本番までにはまだ半月ほどあったが、僕は待ちきれずに、衣装が届くとすぐにそれを持って先輩の部屋に向かった。 今日は先輩はバイトの日なので、先輩に部屋で待っているとメッセージを送っておいて、合い鍵を使って先輩の部屋に入り、シャワーを借りて衣装に着替える。 ドキドキしながら先輩を待っていると、ドアの鍵を回す音がしたので、僕は慌てて立ち上がって先輩を出迎える。

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