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第10話
「っ…てぇ…」
目が覚めるとベッドの上。医務室だ…
「あ!!会議!!」
「おはようございます。樫本部長」
「君は…リーベルト…」
あぁ…何で…忘れてた?多くの情報が流れ込む。頭を抱え踞る。
そうか…俺は…人ではない…人に紛れ生きてきた…向こうの住人だ…
しばらくして痛みが和らぎ顔をあげた
「…リーベルト様」
「美月…ごめんね。驚かせて…君に一年に一度しか会えないなんて…もう…耐えられなくて…他の魔物に…私の目の前で…加護を与える君を見たくなくて…こちらに来てしまったよ…」
「リーベルト様…会いたかったです…」
仕事とか自分の立場とかもうどうでも良くて…今目の前にいる人…大切な人にすがり付く
「私も…耐えられません…あなたに見られながら…あなた以外に…あんなこと…もう…嫌です…お願いします…私をあの役目から下ろしてください…あなた以外に触られるくらいなら…死んだ方がましです…」
「もう大丈夫…あの世界はリーガルに託してきた…君の役目は代わりに木島が受け継ぐ…」
クリス・リーガルはあの世界で目を覚ましたときに俺の側にいたあの人。
彼はリーベルト様の側近だった…
「リーガルになら任せられるから。だから大丈夫。この世界もあの世界も守られるから…」
「木島は…」
「彼は元は神だ。いくつも形を変えられる。年齢だってまたしかり。あいつの本来の姿を知るものは少ない。本当は若いのかもしれないし逆なのかもしれない。しかし、彼の寿命は俺たちよりも長い。だから大丈夫。ねぇ。美月…私の伴侶になってくれないかい?」
子供みたいに泣きじゃくる俺を困った顔をしながら抱き締め撫でてくれる優しい手。もう長い間この手を…この体を…この心を焦がれていた…愛しい人…
「私でいいのですか?リーベルト様」
彼には多くの側室がいる。中には俺なんて到底及ばないような人も…
「私は君がいい…美月…君しかいらない…」
「リーベルト様…私もあなただけが欲しいです…お願いします…私だけ見てください」
「ふふっ…やっと言ってくれたね?待ってたんだよ…」
「私のこの思いは貴方には伝えてはいけないものだと…立場が違いすぎるから…だから…」
「私も自分の立場など考えず早く君に伝えておけば良かったね…すまない…」
「いいのですか?私の気持ち…我慢なんてしなくても」
「あぁ。我慢しないでくれ…」
そういわれ彼に口づける
「愛しています…リーベルト様」
そして再度唇が重なる…
「私も愛しているよ…美月」
今宵ダンスを踊りましょう。二人の愛が繋がれたのだから盛大に…ね?
完
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