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第12話

「え!?」 「お隣さんなんだぁ」 「えぇ!!」 最近大きな屋敷が隣に建ったと思ってたら… 「本当はあの日より前に完成させて迎えに行くはずだった…でも…間に合わなくて…あのパーティを開かないとならなくなったんだ…ごめんね」 「いえ…でも…何でわざわざ建てたんです?うちに住んでくれれば良かったのに…」 「だって…もし君に拒否されたらと思うと…ご近所付き合いから頑張って振り向いてもらおうと…」 「もう…貴方は…」 「せっかくみんなが建ててくれたから…ここに住むよ?」 「リーベルト様!」 「ん?クリス?こちらの世界まで来てどうしたの?あちらは平気?」 「私と木島がここに住むから貴方は美月様の所へ行ったらどうです?私たちは年に一度あちらに行けばいいですし」 「え?」 「私いつでもあそこを開けられるようにずっと前から準備してきたのですよ?気付いていなかったのですか?このアホ領主」 「んなっ…お前は…やはり喰えない男だな」 「万が一何かあっても木島がすぐに向こうへ向かうことが可能ですから」 「その木島は?」 「こんにちは。リーベルト様。美月様」 「え?…えぇ!!!」 木島はあのときの姿とは全く違う容姿をしていた 腰まで伸びた青い輝きを持つ髪。全体的に透き通るような白い肌。切れ長の瞳。筋のとおった鼻。形のいい唇。 「綺麗過ぎ…君は何?」 「私はもともと深海の国を統べる神でした。子と孫に全てを委ねてきましたので向こうに戻ることはあまりないですが」 「これも仮の姿?」 「これが素の姿です。ただこの姿になるのはいろいろと面倒事が起きてしまうので…いつもは老紳士の姿が多いですね。この姿を見せたのはクリス様とあなた方だけで今後もこの姿をあちらの国で晒すことはありません。儀式の時は…」 「うわ…これもまた…」 「これ…って…え?」 目の前に立つ姿は俺に良く似ていた 「な…んで?これ?」 「美月さまが愛されているからです。でも…このままだとあんまりなので…多少は変えますけど?」 「うわわっ!!」 目の前の俺に良く似た姿は髪色と肌色が少し代わり微妙に違うけど雰囲気はそのままだ 「でも…まだ考え中なのです…なんならその都度変えるのもいいかと思っていますが…獣の姿や虫の姿にも変われますし」 「わぁっ!!可愛い…」 目の前に現れたのはふわふわモコモコのウサギ そして次はきらきら輝く蝶… 何度も姿を変えてくれた 「本当に何にでもなれるんだね」 「ええ。でもやはり本来の姿が一番楽ですねぇ、」 「はぁ…綺麗…」 「ふふっ…美月さまには敵いません。さすがに天使様ですね。本当に…お美しい…」 そう。俺は神に仕える美の天使の一人だった。神と人の子の混血である俺は他とは多少違っていた。そのせいかやたらと多くの神に愛でられていた。 人である母は体が弱く俺を産み落としまもなく亡くなった。父はそれを知り俺を天界へ導いた ある嵐の日、外の様子を伺おうと外に出たら非常に強い風が吹き天界からあそこへ落ちてしまって大怪我を追った。 それを何の気紛れか助けてくれたのはリーベルト様。悪魔が天使を助けるなんてそんな不可思議な話聞いたことはないが少し変わった人だったみたいだ。その時から俺は天界へは戻らずずっとリーベルト様のお側に置いてもらった。 一目見て恋に落ちてしまったから…父は何も言わなかった ぼんやりしている俺の頬にそっと触れる木島のひんやりした手の平が気持ちいい… 「…っ…美月様!すごい熱!!こんなところで呼び止めてしまい申し訳ございません!!もう!!クリス!!あなたは…」 「だってぇ…リーベルト様があまりにもへたれ過ぎて」 「もう!!そんなのいいですから早く休ませて差し上げてください!あのパーティの後はこうなるのはわかっていたでしょ!!リーベルト!クリス!」 「き…木島?」 「は…!!すいません…」 「ふふっ…ははっ…久しぶりに聞いた。やはりその方がお前らしいよ」 「うるさいです。早く休ませてあげなさい!」 「結局君が実は真の支配者だよね。これまでありがとう。これからもよろしくね」

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