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エピローグ
想像すらしてなかった。
昨日までと全く違う今日。
夜、何もしないからと、ベッドに引っ張りこまれる。
(抱きしめて眠るだけ……)
甘い目線。俺を見る目が全然、昨日までと違う。
何もしないって言ったのに……
ベッドでも繰り返される優しいキス。
頬に首に唇に何度もされる。
(渋谷。好き……)
…………なんで俺、拒めないの。
意外と強引な上條にされるがまま……
(触りたい。いや、我慢。初日で手を出すとか駄目。でも好き。可愛い。
照れてる顔、堪んない。キス嫌じゃない……?
渋谷が俺の腕の中にいる。
理性がどうにかなりそう。触りたい……!
男だろ!誠意見せろ!)
流れ込んでくる心の声。
…………俺が……どうにかなりそう。
とりあえず、全力で欲望を押さえてくれて、その夜はキスだけだった。
…………緊張でなかなか眠れない。
辺りがボンヤリ光って眩しい。
オレンジのカボチャがいっぱいある。
…………ココ、何処?
『お兄ちゃん。』
そこへ魔女の格好した女の子が来た。
『あ!君は……』
『本当のイタズラはこれから。
もうすぐ魔法は逆になる。』
…………え?逆?どういう事?
ハッ……
目が覚めたら、そこはベッドだった。
夢か……
目の前に顔があり驚く。
……上條に抱きしめられてる。
そうか。昨日、あのまま……
これじゃ、事後カップルじゃん!
上條ってば……キスし過ぎ。意外と手が早い。
でも嫌じゃなかった……
昨日、何回、キスしたっけ?
わー!俺、乙女かよ!
パチ……
上條の目が開く。
き、気まずい!
なんて声をかければ……
「渋谷。そんなに大声で話さないで。」
上條が目をこすりながら言った。
……大声?
俺、声には出してない。
…………なんで。まさか。
冷や汗が流れる。
……………上條、聞こえてる?
「うん。」
上條がアクビをしながら返事をする。
『本当のイタズラはこれから。もうすぐ魔法は逆になる。』
夢での言葉を思い出す。
う……嘘だろーーーー!?
「何が嘘なの……?」
半分寝ぼけながら、不思議そうに聞いてくる上條に何も答えられなかった。
もし……
俺の心の声が聞かれてしまったら…………?
……………………どうする?
(END)
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