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第1話 俺だめぇ

「お、俺、まだ千晃(ちあき)さんの事知らな――そこだめだめ。だめですってば! めくっちゃだ……ふぅん。あっ! あ――そこ気持ちいい。いいっ!! って流されちゃだふぅん。ちゅくぴちゃり」  淫靡な音が漏れる。  再度キスをされ何も言えない状態になる。 「もっといい声で啼いてみせて? 今、私を受け入れる準備をしてるから。美味しかったお料理のお礼をしなくちゃならないからね。はしたない所みせてくださいね」  微笑みにまるで、俺の羞恥心をかきたてているのが心底楽しいという様子が垣間見れたような気がする。  いたずらっぽい少年のような目で。けれど丁寧な口調。千晃さんに言われた言葉が意味不明だった。いや、わかりたくないだけかもしれないけど。 『受け入れるって何を!?』と困惑気味。正直抵抗する気もあんまりないんだけど、だって、愛が欲しい。でも、行きずりでしかも男の人にキスされるなんて……!  俺のプライドが許さない。でもなぁ。この低音ボイス聞いててすっごく癒やされる。  それに、この蕩けるような口づけも嫌いじゃない。寧(むし)ろ好き。  相性いいのかもなんて考えてる場合じゃないんだけど……。どこまで俺はお気楽なんだろう。自分で呆れてしまう程だ。でも、このまま事が進めば抱かれる羽目になる。ドキドキしてる俺。……期待してないからな?  彼女なんて居なかったって思えばいいのかな? 性別なんて関係ないって。  はちきれんばかりの僕のペニスが言うことを聞いてくれない。俺……堕ちていく。

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