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第2話 ゲイバー?俺ノンケですけど。

「ねー咲お姉さん、お姉さんてばぁー俺に構ってよう。 お酒? 呑まずにはいられないよね! って聞いてるぅ~? ミサちゃぁぁああんどうしてだよぉ……」 「絡み酒しないの、男の子でしょ、しっかりしなきゃだめじゃない」  男の子だから悩んでるだってば! キスだってした、エッチだってした。なのにも関わらず 『俺にはもっといい男のひとがいるから別れましょう』なんて言われてみてよ。  暗に『貴方じゃ物足りないの』って言われてるもんじゃん。てゆか、男ってなんだよ。俺はホモじゃねーよ! 「大体咲お姉さんだっておと――すみません、なんでもないです。はい。その鬼のぎょうそ……ひぃ。冗談だ・か・ら! 怒らないで。しくしく」  俺は今日『っぽい』とされた。誰にって?  彼女にだ。さっき話した通り、ハツラツとした顔で言われたので、動揺が隠せない。  そんな事があった日は酒に限るよねぇ~未成年だけど。そこはツッコミ入れないでください。だってぇ~シラフじゃやってらんねぇよ。  天気で例えるなら台風接近に伴い土砂崩れみたいな災害が起きるような、はたまた、大雨洪水警報が発令されるような感じ。とにかく荒れてるの!  ゲイバーを営む咲お姉さん(お姉さんと言わないと超絶コワイ)の店でマティーニを口にしていた。気分は最低。飲んだくれのおじさんの状態。  咲お姉さんは親戚の反対を押し切ってゲイバーを建てて、経営してる。そこそこ人は来るし、店の感じもアダルティックでいい感じなんだけどぉ~。今の俺にはそんなのは関係ない。  ただただ、酔いたい。酔い潰れたい。消え去りたい。それだけ。  美味しいはずのマティーニも今はこれっぽっちも美味しくない。まずい酒ってこの事なんだな!  まるで世界の終わりを見たような俺、西園寺歩大(さいおんじあゆた)  涙を流し、不毛にも復縁する方法今も尚考案中の俺。納得できない! 「歩大、そんなに泣かないの、もう、きのこが生えてそうじゃない。辛気臭いのはいやよ。しゃんとなさいな。ほら、お望みのマティーニ飲んで元気出す。いいわね」 「無理!」  元気付けてくれる咲お姉さんには感謝してるけど、今度という今度は無理。浮気かなぁ? はぁ……男となんて関係持ちたくないし。いる場所がいる場所だけどね。トホホ……。 「なぁ~に辛気臭い面してるの? 可愛い顔が台無しじゃん、お酒は楽しく。ね? 俺と一緒に飲もうぜ~それで……」 「用はございません。ご退場願えますか?」 「可愛い顔して言うこと辛辣だなぁ~俺と飲めば楽しいよ。なんて言ったって太陽の鈴(りん)さんだからね。寝かせないぜ?」  あーかったる。こいつつまみ出してくれないかなぁ。  顔には出さないけどとかじゃなくて、出せないけど、心では悪態を吐く俺。

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