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第1話
出会いは唐突に空から降ってきた。
その日は快晴で、青空に咲き乱れた桜の花がとてもよく映えた。こんな日は入学式なんて出るより昼寝に限る。なんて思いながら裏門の近くの桜の木の下でうとうとしていた時、ガサガサという音とともに桜の花びらが舞ったかと思えば、目の前に人がいきなり落ちてきた。
どうやら裏門の塀を超えてきたらしい。
思わずびっくりして飛び起きた俺に気付くとそいつは振り向いて少し照れたように歯を見せて笑った。
「あ、ごめん! 入学式に遅れそうだったんだ!」
その舞う花びらの中の煌びやかな笑顔は快晴の青よりもまぶしくて、俺は一瞬にして恋に落ちた。
そうだ。始まりはいつもあいつは俺の目の前に突然現れる。
早くから自分の性的指向は理解していた。だからこの気持ちが恋なんだということもすぐにわかった。そしてこの気持ちが実ることではないことも同時に理解していた。
でも、少しでも知りたくて、できるなら喋ったりしてみたくて。もしかしたら同じクラスかもしれない……なんて淡い期待を込めながら、さっきまでさぼろうと思っていたくせに慌てて入学式会場に向かった。
……それが、一年と半年前の話。
*
「おい、笠松。頼むから暴走しないでくれ」
「暴走なんてしてない」
「これのどこが暴走じゃないって言うんだ!?」
密かに一年半片思いをしていた笠松と付き合うようになって数週間。俺はこのお節介な天然人たらしに苦悩していた。
何をそんなに慌てているかというと……。
「俺、気になったら調べずにはいられないたちなんだ」
「そうだとしてもだ!」
「なんでだよ! ネットにはこれが必要だって書いてあった」
「だからそれは……絶対ではないというか……」
「なんだよ、三芳。もごもごすんなよ」
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